ただ産まれただけなのに

ルゥイ

第1話 誕生

これはただ静かに暮らしたかった僕が邪神

として殺されるまでの物語


人も寄り付かない静かな森の奥深く

重厚に聳え立つ山の麓、不気味な雰囲気を

感じさせる洞穴の奥

人やモンスターの亡骸の上に巣食う龍が

いた。


純白の鱗に冷たく鋭い眼光その爪は鋼すら

容易く引き裂いた。

千年を生きる龍と言えど、この神々しさは無い

だがそんな龍でも子を成す。


今この龍の巣には2つの卵があるのだ。


母親を思い浮かばせるような純白の卵と

光をも吸収してしまいそうな程どす黒い卵


卵を産んでからはもうすぐ一月は経つだろう。

もうすぐ産まれてくるであろう我が子を見守る母親、彼女は聖龍と呼ばれる神の加護を

受けて産まれてくるとされる種族の長である


名を【アマツミ】


族長である彼女の子が誕生すると世界が

ザワついた。

それもそうだ生物の頂点と言われる龍種

しかも聖龍の族長の子なのだから


だが片方は純白の卵、もう片方は黒い卵

もうすぐ誕生するとは言え聖龍の子が真っ黒

だとすれば邪神が宿ると思われた


中の子が邪神の加護を受けていないことを

願うアマツミだがそんな願いも儚く

生まれた子は白と黒であったのだ


そう僕は黒かった


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ただ産まれただけなのに ルゥイ @Ruui3066

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