第23話 作戦実行

昨晩の夢・・・本当に神だったのだろうか。


でも、夢の中で神が言った通りやるしかない。


私は岡部さん、蓮、黒崎仁を呼び出した。


「みんなを呼び出したのはね、ツバサさんを救う方法を見つけたからなの。」


「なに! ツバサは元に戻るのか!」


黒崎仁が前のめりになって驚く。


「ええ。

 それには3人の協力が必要なの。

 ツバサの中には、男を独り占めしたいと考える悪霊が取り付いている。

 そこで、悪霊を成仏させるには、悪霊の目的を達成させる必要があるの。

 つまり、まだツバサのトリコになっていないあなたたち3人が、ツバサに抱かれる必要があるの。

 あなたたちには、ツバサのトリコになったというフリをしてほしい。」


「なっ!

 僕はスミレだけのものだ!

 そんな、他の女性を抱くなんてできないよ!」


蓮が言った。


「わかってるわ。

 でも、ツバサさんを救うにはこれしかないの。

 お願い!」


「そ、そこまで言うなら、わかったよ。

 で、具体的にどうすればいい?」


「そうね、ツバサの部屋にいって、大浴場に誘えばいいんじゃない?」


私の男性陣との性行為をツバサは禁止されている。

だから、隠れて行為に及べる大浴場に誘い出す必要があるのだ。


そうして作戦は決行された。


ツバサは面白いほどにまんまと作戦にハマった。


つまり、3人とエッチしたのだ。


そして、ツバサが私の部屋にやってきた。


「あらあ、おひとりで部屋に閉じこもっちゃって、どうしたの?

 男の子はみんな私のトリコ。

 あなたの居場所はもうないわ!」


気色の悪い、女の口調で私をあおってくる刹那。


「ふん、せいぜい勝ち誇っているといいわ。」


「あなた、私にすべて奪われた。

 これじゃあ、わざわざ転生してきた意味ないわね。」


私はこいつに負けたフリをして、こいつを成仏させるんだ。


そう意気込み、私はウソ泣きをした。


「ぐすんっ。

 あんたのせいで私の人生、めちゃくちゃよ!

 男の子を全部奪って、サイテー!」


「おほほほほ。

 お前は前世も今世も俺に負けるんだよ!

 あースッキリ!

 俺、もう思い残すことないかも!」


ツバサがそういうと、ツバサの体が光始めた。


ぱあっと光が溢れ、私は思わず目を閉じる。


光が収まったころに目を開けると、そこにはツバサが倒れていた。


監視カメラで見ていたのだろう、セバスとエドガーがやってきた。


「いやはや、光でよく見えませんでしたが、何事ですか!?」


「ええ、ツバサは頭がおかしくなっていたでしょう?

 だから、私が治したの。

 目を覚ましたら、きっとよくなっているわ。」


「たしかに、ツバサ殿は前世だの今世だのと、精神を病まれていた様子。

 しかし・・・本当に治るのでしょうか・・・。」


すると、ツバサが目を覚ました。


「ここは、いったい・・・?」


黒崎仁も駆け付けた。


「仁だよ、わかるかい?

 ツバサ。」


「ええ、あなたは仁。

 私の病気は治ったの??」


「ああ、治ったんだよ!」


黒崎仁は涙を浮かべる。


「ありがとう、スミレ!

 君のおかげだよ!」


こうして、ツバサの中から刹那は消えたのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る