知りませんか?

女神なウサギ

第1話 知りませんか?

 昼頃。信号が変わるのを待っていた私は1人の男性に声をかけられた。見たところ初老の男性だった。

「あの〜知りませんか?」

「道ですか?あいにく私は地元の人間ではないのです」

「いえいえ、道ではありません。最近噂の都市伝説、怪談ですよ」

「都市伝説?」

「はい。突然、家のカーテンに人影が映るのです。それは怪異の影なのですが、その怪異の姿がどのようなものか知りませんか?」

「さあ、あいにく知りませんねぇ」

「それは残念ですねぇ。知らないのはもったいないですねぇ〜」

それだけ言うと男性は去って行った

ふむ。さては絶世の美女の霊なのだろうか?

 会社の同僚にも知っているか聞いてみることにした

「なぁ、カーテンに突然影が映る都市伝説を知っているかい?」

「知っているよ。最近噂の怪談だろ?」

「正体を知っているかい?」

「知っているよ」

「僕は知らなくてね」

「知らないのはもったいないなぁ~」

 家で高校生の娘にも聞いてみる

 「ねぇ、カーテンに突然影が映る都市伝説を知っているか?」

「知っているよ。最近噂の怪談でしょ」

「正体は?」

「知っているよ。お父さん知らないの?」

「あいにくね」

「知らないのはもったいないなぁ~」

 ここまで来ると正体が気になって仕方ない。

果たしてどれほど美しい怪異なのだろう

数日後。ついにその時が訪れた。寝室で寝支度をしていると、カーテンに人影が映し出された。影は2つあり、1つの人影にもう1つの影が馬乗りになっているようだ。ははぁ、さてはエッチな霊だな?

だから人気なのか。私は我慢できずにカーテンをかけた。

 意識を失った女性に首のない人型の怪異が馬乗りになっていた。どうやら鋭い爪で女性の血を吸っているようだ。首はなくともテレパシーが使えるのか、脳に声が響いてきた

「見てしまいましたね?」

この時、私は初めて騙されたことを悟った

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知りませんか? 女神なウサギ @Fuwakuma

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