3秒ルールで異世界無双

伽藍堂

第1話 召喚&追放

 俺、さかき 拍斗はくとには、趣味ってやつが無かった。

 無論作ろうとした。中学の頃に奇跡的に出来た友達と一緒にいくつものゲームやアニメ、漫画読み漁ったが全部長続きしなかった。

 ゲームは進めてる途中で飽きて辞めるし、本も読むけど暇つぶし感覚で、好きで読んでるって程でもなかった。


 最初は単に自分が飽き性なんだと思ったが、つい最近違うと気づいた。


 関心がないのだ。


 思い返せばゲームも読書も親や友人に勧められたからやっただけで、自分から何かに手を伸ばした事は一度も無かった。


 嫌いな事は嫌いと突っぱねる事も、自分の意見を押し通す事も出来るのに。


 何かに夢中になる事は一度も無かった。


 今登校中に食べてるフランクフルトだって別に好きだから食べてる訳じゃない。小腹が空いたからコンビニに寄って、ホットスナックのコーナーで最初に目に入ったから買っただけだ。


 味は美味しいとは思うけど、好きと言える程気に入ってる訳でもなかった。


 フランクフルトを食べながら登校していると、ドンと肩に何かがぶつかり、その衝撃で手に持っていたフランクフルトを離してしまい、地面に落ちていった。


 

 ――瞬間、世界がブレる。


 

「あ、すいません」

「いえ、こちらこそ」


 どうやら通勤中の女性にぶつかったらしい、まぁこの辺りは人が多いし仕方ない。

 


 軽い会釈をし、

 


 ――、こういう時には便利だよなぁ。



 


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


 その後、特に何も起きず学校に着いた。


 朝から登る階段に怠さを感じながら二階にある二年三組の教室へ辿り着いた。

 

 教室に着き自分の席に座った途端、目の前にある机に突っ伏して目を閉じる。別に寝不足という訳でもないし普通ならクラスの友達と世間話などをするのだろうが、特に話したい事もないし、そもそも世間話をする友達がいなかった。

 つい先日ある小説の最新刊を買ったのでそれを読んでもいいのだが、別にそこまで続きが気になってる訳じゃないし、読む気分でもないから辞めておいた。


 寝る訳でもなくただただ突っ伏して数分後、ホームルームの鐘が鳴った。体の起こし、担任の教師が出席確認をしようとした時――


 瞬間、教室が光に包まれた。


 

―――――――――――――――――――――――


 

 ――ゴンッ


 「〜〜ッ、いっでぇ」


 程なくして光が収まったと思ったら、バランスを崩して尻餅を着いた。


 自分だけじゃなく、クラスメイト全員が同じように尻餅を着いていた。

 全員が一斉にバランス感覚を失った訳ではない、椅子と机が消えたのだ。座っていた椅子が急になくなったせいでこの集団尻餅事件は起きたのだ。無事だったのは立っていた先生ぐらいだろう。


 だが、その痛みはすぐに無くなった。それ以上の衝撃に襲われたからだ。


 クラスメイトと先生全員が同じ衝撃と疑問に襲われた。即ち


 ――何処だここは!?


 目の前に広がる光景は見慣れた教室ではなかった。

 その光景を一言で表すなら謁見の間、中世のお城の中にあるような空間に自分達はいた。

 無論無人ではない。フードを深く被った人達が自分達を囲う様並んでいるし、その後ろには西洋の甲冑を身に着けた人達がこちらを注意深く観察している。

 それによく下を見てみると、幾何学模様で描かれた陣のような物が描かれてあった。


「や、やりました!召喚成功です!!」

「……召喚?」


 嬉しそうな女声が聞こえ、その発言に疑問を抱く。

 声の方向を向いてみると、そこには金色長髪の美少女、身に纏っている豪華な服も相まってお姫様の様な人だった。

 するとクラスメイト達がヒソヒソ小声で話し出した。


「召喚だって…」

「やっぱりさ…」

「なぁ、やっぱりコレって」

「異世界召喚!?」

「やだよ…どこココ……?」


 混乱と興奮が伝播し、パニックになりかけたその時


「皆さん、どうか落ち着いて下さい!」

「「「!!!」」」

「不安になる気持ちは分かります。"此処は何処なのか?""何故自分達は此処にいるのか?""何が起こったのか?"、貴方達の中には多くの疑問がある筈です。ですが安心して下さい、私たちはその全ての疑問に答える事が出来ます。ですからどうか落ち着いて、私たちの話を聞いてください」


 その言葉をキッカケにクラスメイト達は落ち着きを取り戻し、多くの説明を受けた。


 

 ここは俺たちが暮らしていた世界とは違う別の世界である事。

 

 俺たちが今いる場所はユネスト王国という国の王城である事。

 

 クラスメイトを落ち着かせたお姫様のような美少女はユリスティアというこの国の王女である事。

 

 他にも様々な事を説明された。


「皆様はこの召喚の際にスキルが顕現した筈です。今からその確認をします」


 そう言うとローブを被った人達が大きな水晶玉を持ってきた。

 それに王女が触れると、水晶玉が赤い光を放った。


「この様に、この水晶玉に触れると光を放ちます。私の場合は赤く光ったので、私は炎系のスキルを持っているという事になります。他にも、水なら青、土なら茶色、雷なら黄色、身体強化系であれば灰色、というふうに」


 その言葉を聞いたクラスメイト達は我先にと水晶玉に向かって駆け出していった。結局王女が統率し、一人ずつ水晶玉に触れ、スキルを確かめていった。


「俺身体強化系だって」

「僕は炎」

「俺土ー!」

「私青色だった、アンタは?」

「え?私も!お揃いだねー」

「灰色……」


 みんながスキルについて盛り上がっていると、最後に俺の番がやってきた。


「あなたで最後ですね。どうぞ手を」


 王女に勧められ、水晶玉に触れる。

 

 さて、俺はどうなるかな?


 水晶玉は光らなかった。


「ひ、光らない?そんな、まさかスキルが……無い?」


 ほー、こうなったか


 俺としては予想の一つではあった為驚きはないが、王女は目に見えて狼狽していた。


「あいつスキルねぇって!」

「マジかよ」


 クラスメイト達もヒソヒソと俺を見ながら話し合っている。


「スキルがないだと?それは本当か?」


 すると今までずっと静かだった人。王女曰く国王が王女に質問を投げた。


「い、いえお父様、まだ決まってはいません。水晶玉が壊れたのかも……」

「ついさっきまで正常に動いていたものが理由もなしに壊れるものかっ!その男にはスキルがないのだろう!」


 国王は限界まで釣り上げた目で俺を睨みながら叫ぶ。


「巫山戯るな!!この召喚にどれほどの時と財を投げ打ったと思っているッ。その果てに呼ばれたのがむ、無能だと!?貴様ッ、これをどう償うつもりだッ!!」

「お父様!どうか落ち着いて下さい!!今回の召喚については私にお任せ戴くはず!!」

「ならんッ!!他の者達はともかくそ奴だけはダメだ!そ奴は我が国から追放するッ!!!」

「お父様!!」

「あ、いいですよ」

「お父さ……え?」

「それじゃ、俺はこれで」


 こうして俺は謁見の間を去った。



 



――――――――――――――――――――

――――――――――――――――――――



最後まで読んでくださり、ありがとうございます!!

衝動的かつ突発的に始めてしまい、完全な見切り発車状態ですが、見守っていただけると幸いです。


よろしければフォロー登録、【★で称える】で星を3回押して応援してくださると、作者が狂喜乱舞します。


レビューもして頂けたら発狂して喜びます。


そしてもう一度、最後まで読んでくださり誠にありがとうございます!!!!


 

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