第14神話   メンバー集合!④

「ッハァ!!……ハァ……!痛っっ〜〜〜!!!」


 痛みに悶絶しながら俺は地面に倒れ伏せるが、痛みに耐えながらも目を開く。


(ここは…)



 そして最初に目に入ったのは床だった。

 先程の真っ白な硬い床とは違い、天然石製の灰色の床だ。

 元の場所へ戻ってきたのだ。


(何だったんだ…?今の…?)


「よし…これであいつの力を手に入れるだけで、後は達成だ。」


 そんな俺のことはスルーでラルバはねヴァン達に向いている。


「やっと……やっと此処まで来れた……」


「ついに俺たちが神に反逆できる時が来たんやな……いやぁ……長かったなぁ……」


マサルとラヴァナが涙声になりながら、喜びの感情を露わにしている。

 だがこっちの気分は最悪だ。何が何だか分からず、急に裂け目に襲われて頭痛に襲われるわで災難続きの俺にとっては耐え難いものだった。




「ちょ……ちょっと…!待ってください!!ッ!!」




 大声を出したことで頭痛が更にズキズキと連続で頭を刺激してくる。勝手に話を進めるな。こっちだって聞きたいことが山程あるんだ。


「…なんだ?」


 不服そうな顔をしながら、ラルバが俺に睥睨した目を向け、つられて他の3人は黙って俺の方を見ている。


「見ましたよ……あなたの記憶を。やっていたことも……!!全部見てきた…!!」




「………叶夢」




「神が能力を使えなくなったのも…!キメラが跡形も無く消え去って、復活したのも…!あなた達4人が原因だったんですね…!」




「そ、それは……「あぁ、そうだ。」




 ネヴァが言いづらそうに口を開いたその時だった。




「能力無効化の空間を持ってきたのもこいつら、俺とウラさんがバラバラになる前に別空間に移動してそこから細胞一つ一つを空間で繋げ、回復薬をかけてくれたのもこいつらだ。」




 なんと声をかけるか悩んでいた3人を押しのけてストレートに伝える。




「…っ!なんで……!」




 薄々は分かってはいた……分かってはいた。

 だがこんな……




「……勘違いするな、別にこいつらも俺もお前を裏切ったわけじゃない。寧ろ俺にもお前にも必要なことだ。」



ネヴァ達を代弁するようにつらつらとラルバは語る。

必要なこと?なんだ?




「言われなくても超分かりやすく教える。」




 そう言うと突如として、空間の裂け目をラルバの右掌から発生させて、そこから俺に向かって光弾を飛ばした。



「はっ…?」


 俺を飲み込む程の大きさの光弾が向かってくる。今から横に避けようとしても間に合わず、致命傷は絶対に避けられない。自分に近づく程、光弾のスピードがスローモーションに見える。


 自分の本能が自然と自分の死を示唆しているのが分かってしまう。


 

(これ避けられな……あれ?)



使…)


 存在しない記憶に駆られ、俺は左手を前に突き出す。


パリパリ!


 すると自分の右手から裂け目が開き、一瞬でその光弾を飲み込む。




(次は……あいつの後ろに……)




 裂け目で光弾を飲み込むと、一瞬でラルバの後ろに裂け目を発生させるという判断が何故か自然と出来てしまう。まるで本能に染み付いているようだった。




パリパリィ!


ラルバの背後に裂け目を発生させ、ラルバが発生させた光弾をそこから出現させる。


「よっし…!」


ほぼゼロ距離の位置に発生させたので、間違いなく一撃が入ったと思った。




「……」


 ゴォッ!


 

 しかしあの厨ニ神を倒した程の奴が一筋縄で行くはずもなく、拳一発でかき消されて光は粉々に散乱した。




「まじかよ……!?」


 規格外の行動に俺は唖然としてしまい動揺してしまったが、それでも俺は立ち向かおうと自分の決めた意志に背かないようにラルバの方を真っ直ぐに見つめる。


 それに対してラルバは愉快そうに微笑み、俺を細い目で見つめる。

 彼のその目の笑みによって作られた顔には皺が深く刻まれていた。




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