第12神話(前書き) 儀式の準備
「にしても、やっぱり凄いなヒール星の回復薬。体の傷なんてもう塞がった。」
マガミが俺の遠くの取り寄せた回復薬に感心し、先程の俺が喰らわせた腹の傷があったであろう場所を服の上から触る。
「…………」
そんな中、俺はマガミの話の内容なんて先程夢のような映像によって全く入らない。
まだ脳裏にこびりついている。
「ラルバ……本当に大丈夫?さっきから瞬き全然しないけど?」
「え?あ、あぁ大丈夫。考えに集中してただけ…」
俺はマガミに言われ漸く気づき、数回目をパチパチしてマガミに目を向ける。目が覚めたような感覚だ。
「考え事?何考えてたの?」
「………な、なぁ。」
俺はマガミの質問に答えるように…いや自分の気持ちを安心させる為に俺はマガミに話しかける。
「うん?どうしたの?」
「も、もし……」
ーーおい、ラルバ聞こえるか。
話を遮るように突如俺の脳内に声が響く。ウラさんだ。
「う、う、ウラさん…」
「え?ウラさん?」
マガミにはどうやら聞こえていないようで、俺だけに向けたメッセージだった。
ーー少し頼み事があるんだが良いか?
こ、こんなタイミングで?まさかウラさんの身になにかあったのか?
一瞬で多くの考えに惑わされるがそれよりも今はウラさんの言葉に答えるべきだと思い、返事をする。
「は、はい!」
ーー計画変更だ。今すぐにあの人間と一体化してくれ。
「え?も、もうするんですか?」
その話は神のじげんの力を奪い取ってという話だったのに……
ーーあぁ、この神の奴まだ何か隠し持ってる。いざって時に対抗するためにもお前すらの神通力を越えるあの人間と完全に一体化して力を蓄えておくべきだと思ってな。
「『何か』って……」
そこまでのことなのだろうか?怪しく思った俺は外のもう一人の自分と意識だけを、空間を操り外を見る。
そしてそこには何やら、悔しそうな顔をしながら話す神と余裕そうなウラさんが話し合っている。
(見た感じ能力も使えてないが……)
本当にそこまでのことなのだろうか?
(…まぁウラさんが言うんだ。警戒しとくべきなのは間違いない。)
「……」
この人の考える作戦で、上手くいかなかったことなんて今までで一度も無かった。この人が居たからこそ、ここまで来れた。恩を仇で売るわけにはいかない。
そう結論付けて意識を体内に戻す。
「……分かりました。今から取り組みます。」
ーー早急に頼む。用件はそれだけだじゃあ切るぞ。
そう言うとウラさんの声はもう聞こえなくなってしまった。
「……何かあったの?」
「……あぁ、お前にも説明するよ。」
ーーーー
今のウラさんとの話しの内容をマガミに伝え、マガミは腕を組む。
「今すぐに……分かった、僕も行くよ。」
そうしてベットから降り、マガミは立ち上がるが……
「あ、あれっ…」
マガミの体はふらつき横に倒れようとする。
「マガミ!」
俺は瞬時に両手でマガミの体を支える。やはりまだ疲労は完全に取れていないようだ。
「無茶するな。お前は休んどいたほうが良い。あの儀式をするには今のお前じゃ無理だ。」
「は、はは…情けないや。」
「お前なぁ……いつも俺があいつに似てるだのなんだの言うがお前も大概じゃねーか。先にネヴァ達とやっとくから……」
そう言って俺はベッドにマガミの体を寝かしつける。疲弊しきった中でもマガミは強い意志を目に宿す。
「……あ、後でまた手伝うよ。先に言っといて。」
「あぁ……」
マガミの発した言葉を受け取り、俺はすぐに目的の場所へと向かう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます