正直になりたい。

@tokoyo_tuduri

#1

「…好きです」

「えっと…うん、ありがとう」

「でも」と男の子は続ける。

 私は毎日、昼休みに体育館裏の非常階段で昼食を取る。静かでお気に入りの場所。

 体育館裏ということもあって、時々こういった告白の場面に立ち会うことがある。

 告白が成功していることの方が少ないんだけど。

 今回も失敗かな。

 でもみんな凄いよ、告白だなんて。私じゃ考えられない。告白以前に人と話すのすら恥ずかしすぎて無理なのに。

 焦りすぎて自分の正直な気持ち言えたことないし…。

 私だって好きな人ぐらいいるもん。高校2年生なんだし。青春してみたいし。

 でも、告白なんて……。

 あーもう変な汗かいてきた、顔熱すぎる。

 熱くなった顔を手で仰いでるとチャイムがなった。

 教室に戻り自分の席に座る。ふと隣の席に目をやる。

 れんくん、また寝てるじゃん。隣の席の桜木れんくん、私の好きな人。

寝顔可愛すぎでしょ。

「ふふ」

「え、なに?」

「!?」

 え、なになに、え、どうしよう。話しかけられた!やばい!顔熱い!

「な、なな、なにってどういうこと!?」

 やばい!焦りすぎてる!!落ち着け、落ち着け。

「いや、だってこっち見て笑ってたじゃん」

 やばい声漏れてたってこと!?恥ずかしすぎる!落ち着いてなんかいられない!

「ええっと…それは…ごめん。失礼だったよね…た、ただ……」

「ただ?」

「ただ、桜木くんの寝顔が…か、かわ…」

「かわ…?」

「変わってて…」

「え、なに?変って言いたいの?失礼だね」

 ひゃあああああああ!やっちゃった……。

やっぱ正直な気持ち言えないよ…。

「ご、ごめ…ん」

「まあ、いいや授業始まるから前向こ」

「あっうん…」

 はぁ、もうやだこの性格。正直なこと言えるようになりたいのに、私の臆病者……。

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