第11話 波瀾万丈の学園へ

クオンたちに見送られ船に乗りそこから馬車に乗りしばらくすると私とミコトは目的地であるルメリクス魔法学園に着いた


「やっと着いたね」

「まさかこんなに遠いとは思わなかったけど」


疲れている体に鞭を打ち門の前にいる衛兵に学園長から渡された手紙を渡すと、連絡を取ってもらった。

暫くすると私達を呼びながらこちらに来てくれた


「やあやあ!よく来てくれたね、ようこそルメリクス魔法学園へ!改めて自己紹介をしよう、ぼくはヨリイス・マーベリック・チュリットだ」


流れるように私達は抱きしめられた、微かだけどお酒くさい


「ここから、僕が案内するから下がっていいよ」


私達は衛兵の人にお礼をすると何も言わずに元いた場所に下がっていった


「彼は真面目なんだ気を落とさないでくれ...じゃあ行こうか」


私達は学園を見て回った、感想は...広すぎる!

食堂とか何あれ?私の家の倍はあったよ!

この学園に至っては仙石の城下町よりデカいし大きかったし、なんとか冷静さを保ってたけど心臓バクバクなんだけど!


「そしてここが...君達の部屋だ、本当は1人1部屋なんだが、空いていなくてね、すまない」

「おかまいなく!むしろありがとうございます!!」

「そ、そうか...では僕は戻るとしよう、初日からくれぐれも遅刻しないような」


そう言い残すと部屋から出ていくと、私は先に送り届けてもらっていた、荷物を開けながらミコトに聞いた


「ほんとに、私と同じ部屋で大丈夫?」

「大丈夫、むしろどんとこいって感じだよ!」

「いやでも、ほら1人のじか...」

「1人より2人きりの時間の方がいいに決まってるよ!」


なんだ、この圧は...まあでも、ミコトがいいって言ってるからいっか、こうして私達は明日の初登校に向けて準備をしていった


「ふぅ〜やっと終わった〜、ミコトは終わった?」

「終わったよ」

「なら、隣の部屋の人に挨拶に行かない?」


荷造り中、隣から扉を開けて部屋に入っていく音が聞こえたから多分いると思う、隣の部屋の扉をコンコンと叩くが反応がない


「...留守かな?」


試しにドアノブを回してみると扉が開いた、勝手に入るのは違うと思いながらもそろりと入ると倒れている女の子を発見した


「ちょっ!大丈夫!?」


少しだけ揺らしてみると女の子からお腹の音が鳴った...もしかして


「う〜、お腹空きました〜」

「ま、紛らわしい!」

「お腹空くだけで倒れる人って本当にいるんだね」

「ミコト、感心してないで部屋から甘味持ってきてくれる?」


「わかった」と言ってミコトが部屋に甘味を取りに行き、抱えている子を改めて確認すると、ある事に気づいた


「エルフ?」


そう、彼女は長い耳を持っていた、昔、本でしか見た事がなかったあのエルフだ


「ひうっ!くすぐったいです〜」

「あ、悪い!つい...」


気づいたら私はこの子の耳を触ってしまっていた、普通にやばい奴だよ、すると彼女は私の体に寄っかかってきては鼻をクンクンさせて嗅ぎ始めた


「耳触ったのは謝るから...ちょっと嗅ぐのやめて、ひひっ...くすぐったいって...」

「なんか安心する匂いです〜、もうちょっとこのままでお願いします〜」


離れてほしいけど、気持ちよさそうに私の膝の上に寝始めた、この子お腹空いてたんじゃないの?


「おい、貴様!そこはワシの特等席じゃぞ!今すぐどかんか!」

「コハク、起きてたの?」

「話はあとじゃ、今すぐコイツをどかさぬか!」


コハクが人間体になり必死に引き剥がそうとしていると後ろから何かを落とす音が聞こえ振り向くとミコトの目のハイライトを消して立っていた


「セツちゃん?入学早々から浮気?」


浮気って別に付き合ってないよね?...じゃなくて、折角持ってきた饅頭が落ちてるよ


「そこのエルフ、今すぐ起きなさい、起きないと耳を引きちぎりますよ」

「いや、物騒!」

「貴方の匂いはあたしの里にいる人の匂いと似ていたので、つい、すいません、どけますから耳だけは...」


申し訳なさそうにして私の膝から離れると、床に落としている饅頭を拾って渡した...袋に入ってて良かった


「美味しい〜、こんな美味しいもの初めて食べました、本当にありがとうございました、いや〜もう少しで机を食べる所でした」

「いくらお腹減っててもそれはやめといた方がいいよ!?」


...おかしな子だけど、悪い子ではなさそう...かな?


「そう言えばまだ名乗ってなかったですね、あたし、リーファって言います」

「私はセツナ、それでこの2人は...ねえ、自己紹介ぐらいは自分でしてよ」


ミコトとコハクの2人はほっぺを膨らませて私にくっついて離れそうもない


「...ミコトです」

「...コハクじゃ」

「もぉ、2人なんでそんな機嫌悪いのさ」


2人に聞くが、そっぽを向かれた、そんな態度をとってる割には私から離れないし、どうすればいいの...これ


「なんかごめんね?この2人が...」

「いえ、気にしないで下さい」


その日は、2人共私から離れなかった


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忘却少女の英雄譚 鷲宮 乃乃 @koyomad

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