ふたりだけの星空、熱く舞う夏
みすたぁ・ゆー
Scene 1:気になる彼と待ち合わせ
夏休みも残り一週間という時期、いつも一緒に遊んでいる友達同士で花火大会へ行くことになった。
メンバーは私を含めて六人で、会場は私たちの通う高校から一キロメートルほど離れたところにある河川敷。そして自宅の位置が近い私と
「午後六時まであと十五分……か……。少し早く来すぎちゃったかなぁ……。ただ、周りにいる
今も刻一刻と会場には人が集まっているのだろう。きっと会場の最寄り駅は大混雑になっていて、そうなると私は無事にみんなを見つけられるか自信がない。自分で言うのもなんだけど、
それを考えると、ここから一緒に行くことを提案してくれた
ちなみにスマホの画面に目を落としてメッセージをチェックしてみても、
「はぁ……って、あれ?」
小さなため息をついてから顔を上げた時、道の数十メートル先に
やがて私の目の前まで辿り着いた彼は、優しく
「こんばんは、
「ありがとう。
「あはは、メンドいし。それに飲み物とかちょっとした荷物を入れるリュックを持ってこようにも、
「なるほど、それでいつものカジュアルな私服なんだね。うん、そっちのほうが
「ひっでぇ……。それって
「ゴメンゴメン。それにしても来るのが早いね? 約束した午後六時まで、まだ十分くらいあるでしょ」
「このクソ暑い中、
「ううん、私が早く来すぎただけだから気にしないで。準備が早く終わって、待ちきれずに来ちゃったんだ。むしろ私を
そう私が述べると、彼は少し照れくさそうな顔をして
「待ちきれなかったって、
「みんなで楽しみたいって気持ちが強いのは確かかな。夏休みももうすぐ終わりだしね。それに来年の今ごろは大学の受験勉強であまり遊べなくなってるだろうから、その分まで騒いでおきたいのかも」
「そっか……。じゃ、今日はしっかりと楽しもう!」
「だねっ!」
「よし、そろそろ移動しよっか」
「うんっ!」
こうして私たちは公園から歩き始めた。車道側はさりげなく彼が位置取って、その小さな
すぐ隣に目線を移すと、そこにあるのは
そういえば、学校外でこうしてふたりっきりで並んで歩くのは初めてかもしれない。周りからは私たちのこと、どう見えているんだろう? 恋人同士……に見えている人もきっといるよね……。
ちなみに彼は高校の女子たちの間で、好意を持っている人が多いと聞く。目はキリッとしていてカッコイイし、明るく話しやすい雰囲気もあるから分かる気はする。正直、私だって異性として彼のことが気になってるというか……。
ま、まぁ、私みたいな何の取り柄もない女子なんてきっと彼の眼中にないだろうし、特別な関係になることなんてないだろうけど。私は
そう心の中で
清潔感のある身だしなみと
うん、やっぱりカッコイイ。経緯はどうであれ、そんな彼と今はふたりっきり。なんだか意識をしたら、胸がドキドキとして体が熱くなってきた。おそらく気温と湿度のせいだけじゃない。
――と、その時、不意にこちらを振り向いた彼と目が合ってしまい、私は慌てて視線を逸らした。
「っ?
「そ、そうかなっ? そんなことはないと思うけど」
「まぁ、今日も相変わらず暑いもんね。すっかり陽が落ちて暗くなったのに、全然涼しくならないし。――あ、そうだ、ちょっと待ってもらえる?」
そう言って道の隅に寄って立ち止まった彼は、背負っていたリュックを抱えるように持ち替えて中を探り始めた。そして程なくスポーツドリンクの入ったペットボトルを手に取り、私の目の前に差し出してくる。
「はい、
「えっ?」
「保冷剤と一緒にリュックに入れてあったから、よく冷えてて美味しいと思うよ。熱中症になる前に、水分と冷たさの補給ね」
「あ、ありがとう!」
受け取ると、確かにペットボトルは冷えていて心地良い。思わず頬やおでこに当てて冷たさを
(つづく……)
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