第86話 謎の武装勢力
カザタム周辺に展開する謎の武装勢力。
その背後にいるのは――恐らくトレドル様だろう。
仮に違ったとしても、狙いはメーテである可能性が高い。そうでなければわざわざカザタムにケンカを売るようなマネはしないだろう。ここにも自警団がいるわけだし、相手も無傷じゃすまないはずだし、何より騎士団にも目をつけられることになる。
だが、それでも派手に部隊を展開している背景には、それだけのリスクを冒してもメーテの力を欲しがっている。
或いは……多少の騒ぎを起こしても揉み消せる権力を持った者が黒幕として控えているのかもしれない。そうなると、やっぱりトレドル様が最有力候補になるか。
ともかくまずは現場へ行かないと。
もちろん、ミリアたちも一緒に。
カザタムを出てしばらく歩くと、小高い丘の上に出た。
そこから周辺を一望できるのだが、そこには百人近い武装した兵たちがいた。
「揃いの鎧ではないところを見ると、騎士団などのまとまった組織というわけではなさそうだな」
「食い詰めた冒険者か騎士崩れの半端者ばかりという印象ですな」
俺とローチがそう分析をすると、念のためにも少数戦力を引き連れて同行してくれたゴンザレス町長からある情報がもたらされる。
「そういえば、ちょっと前に町でよくトラブルを起こしていたチンピラたちの数が激減したという報告を受けていたな……」
なるほど。
町のチンピラたちをかき集めて戦力にしているのか。あの拷問騎士がスカウト役をやっていたのかもしれない。
「あの大群のどこかに指揮官がいるはずですけど……」
「ここからでは分かりませんわね」
「あい?」
メーテはジェニーとミリアの会話の意味がよく分かっていないようだが、ふたりが言うようにチンピラたちの姿は確認できてもヤツらを裏から操っている現場指揮官の姿はどこにもなかった。
「さすがにまとめ役がどこかに潜んでいるはず……そいつを引っ張り出すためにも接触をすべきか」
「あちらは統率力に不安を抱えているでしょうし、時間をかけるより先にこちらから交渉を仕掛けるというのはいい作戦なのかもしれませんね」
ローチも最終的には納得してくれたようだ。
さて、それじゃあ早速連中のところへこちらから出向いていくとするか。
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