妹さん

 オレを呼び止めると瀬山さんは、

 

「さっきの人って…わたしのこと…なにかいってた?」

 と、聞いてきた。

 

 

 …

 

 

 美人とか言ってたような。

 でも、勝手に軽い告白まがいなこと言うのもなんだと思い、特に何も…と返してしまった。

 

 

 …

 

 これでよかったのだろうか?

 

 正解がわからないけど、とりあえずよしとした。

 

 

 強制的に。

 

 すると瀬山さんは、ぼそっと

「まさか…似て…」

 と呟いた。

 

 

「えっ?」

 とオレが聞くと瀬山さんは、

「あっ、ううん。なんでもない、さよなら」

 と帰って行ってしまった。

 

 

 似て…いる⁇

 

 有名人?

 

 …

 

 真輝斗に似てる有名人って…いたかな?と疑問を持ちつつ、オレは部活へと向かった。

 

 

 

 それからは、特に何事もなくあっという間に一年が過ぎ去った。

 

 

 相変わらず真輝斗と瀬山さんは、なんの進展もない。

 

 

 そしてオレは、瀬山さんをみるとなんだか引っかかる…。

 

 恋⁉︎

 

 恋って…そんなもん?

 

 てか、友達の好きな人をこっそりオレって好きになっちゃった?

 

 

 …

 

 

 真輝斗は、いまだに瀬山さんをかわいいとか美人とか言っていた。

 

 

 そんなに好きなら告白すればいいんじゃない?ってアドバイスしたけど、それは無理の一点張りだったので強制は、しなかった。

 

 それになんか引っかかる…だから、告白したら?って言いながらも心に黒いモヤが引っかかる自分が嫌だった。

 

 

 そんなオレたちは、二年生になったのですがここで思わぬ事件が勃発いたしました。

 

 

 なんと、オレと真輝斗が離れ離れのクラスになってしまったのです。

 

 

 そして…オレの席の隣が瀬山さんなのです。

 

 

 …

 

 

 真輝斗は、とても羨ましがっています。

 

 

 でもさ、こればっかりは仕方ないんだよね…

 

 

 だから真輝斗は、よく瀬山さんに会いたくてオレのクラスにやってくるのだ。

 

 

 そして、やっぱり次の休み時間も来ているような視線を感じて、廊下のドアをみると…全然知らない女の子がドアの前に立っていた。

 

 

 ?

 

 みたことなけど…一年生かな⁇

 

 

 休み時間になってもその子は、誰に話しかけるわけでもなく、ずっとこちらをみているようだった。

 

 

 …なんだろう?

 

 

 わからないけど、とりあえず話しかけてみることにした。

 

 

「どうしたの?」

 と声をかけると、

「あのっ…あなたのお隣さんにずっとテレパシー送っているんですが…電波が届かないみたいで…」

 と言い出した。

 

 

 ⁉︎テレパシー⁇電波⁇

 

 

 一瞬わからなかったけど、どうやら瀬山さんに用事らしいので瀬山さんを呼んでみた。

 

 

「あの、瀬山さん。お客さん…いるよ?」

 と、さっきの子を指差すと瀬山さんが

「あー、美乃みのどうしたー?」

 と話し出した。

 

 

 ホッ

 

 どうやら一安心のようだ。

 

 

 

 それから少ししたら、瀬山さんが戻ってきた。

 

 

「さっきの妹なの。教えてくれてありがとうね」

 と微笑んだ。

 

 

 笑顔…瀬山さんの笑顔をみるとどうしてもドキッとしてしまう…

 

 ごめん…真輝斗…。

 

 オレもしかして瀬山さんを…

 

 

 …

 

 

 

 ってかさっきのこ、妹か。

 

 

 …

 

 妹さん…

 

 

 …

 

 

「そうなんだ」

 と返事をすると瀬山さんは、オレに向かって

「うちの妹覚えてる?」

 と言い出した。

 

 

 

 ⁉︎

 

 いきなり覚えてるって聞かれてもな…

 

 

 …

 

 なんか…なんか…

 

 うーん…

 

 

 

 わからん。

 

 

 

 なのでオレは、

「えっ?オレ妹さんと面識あるかなぁ…ごめん。覚えてないかも…」

 と正直に答えた。

 

 

 すると瀬山さんは、

「そっかー」

 と残念そうな顔をした。

 

 

「どこでオレ妹さんと遭遇してたんだろうか?」

 と聞くと瀬山さんは、

「さぁ?わたしもよくわからない」

 と返されてしまいましたよ?

 

 

 … 

 

 

 ?

 

 

 これは…知ってなかったら気まずいやつなのだろうか…

 

 

 それとも瀬山さんは、ほんとうに知らないのだろうか…

 

 

 とにかくない頭で考えて思い出そうと頑張った。

 

 

 でも…思い出せませんでした…。

 

 ごめんなさい。

 

 

 それから度々妹さんがオレたちのクラスに来るようになった。

 

 ってか、普通にオレの隣に座っているんだが?

 

 

 …

 

 

「あのさ、クラス…ってか教室…って言うより、もう全く校舎間違ってるよ?」

 と心優しいオレは瀬山さんの妹さんに教えてあげた。

 

 てか、姉は⁉︎

 瀬山さんは、まだ来ていないようだ。

 

 一緒に登校とかしないのかな?

 なんて考えていたら妹さんが、クスッと笑った。

 

 

 ‼︎

 

 

 えっ⁉︎

 

 待ったぁあ‼︎

 

 その笑顔は、まさかっ‼︎

 

 ‼︎

 

 その笑顔、オレめっちゃ思い出した‼︎

 

 

 と思い、妹さんに大事なことを言おうとしたら、妹さんはいきなり立ち上がり

「それじゃ、お邪魔致しました。」

 と丁寧にお辞儀をして自分の教室へと帰って行ったようだ。

 

 

 

 

 

 あー、わかったわー。

 これで謎が解けましたとも。

 

 スッキリ〜‼︎

 

 

 

 続く。

 

 

 

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