第22話「ぼんげ先生の次回作にご期待ください」

「きゃあぁぁぁぁぁ!」


 突然のGの襲来に驚き、アオイがとてつもない叫び声をあげた。


「なんかとんでもない声がしたんだけど……いったい何事……? ああ、ゴキブリか……」


 呆れた様子のノアが近づいてくる。


「くっ、め! 妾を追ってこんなところまで……!」


「その帝国700年前に滅んでるし、聖マルティナ皇国と共存してた年代無いけど……。まあいっか。おーい、カリン。出番だよー」


「なんで私がゴキ退治担当みたいになってんのよ……」


 ブツブツ文句を言いながらも、カリンはゴキブリに狙いを定める。


「くらいなさい! フレイムアロー!」


 マッチの火を細めたような炎の矢が、ゴキブリ目掛け一直線に飛んでいく。矢はゴキブリに見事命中し、その身を焼くことに成功した。


「お、今日は当たった」


「今日って何よ!? 今日って!?」


「いや、実際そうでしょ?」


 勝利を確信して軽口を叩くカリンとノア。


 しかし、ゴキブリはその身を炎に焼かれながらも、生への執念からか間近にある液体へと飛び込みその火を消そうと、決死の突撃を試みたのだった。


「うわぁああ! こっち来ないでくださいーーー!?」


「おのれ帝国めーーー!?」


 燃え上がるゴキブリの突進に半狂乱になるアオイと自称皇女。しかしゴキブリの突撃対象は彼女たちではなく……。


 ポチャン。


「あ」


 テーブルの上に残されたラーメンのスープ内だった……。


「わ、妾のラーメン……」


 へなへなとその場に座り込む自称皇女。


「また新しいの作ってもらうわよ……。とりあえずこれ下げるわね……って熱っ!? うわぁ!? ラーメンに火がついてるじゃない!?」


 思わぬ熱さに一度持ち上げたラーメンを落としてしまうカリン。


 とてつもない脂肪分をたたえたそのラーメンは、ゴキブリから引火して、みるみるうちに盛大に燃え上がっていた。


「うわ……。こんだけ燃え上がるってどんだけ脂の塊なのさ……? 人間が食べていいものじゃないでしょ……? これ」


 という衝撃の光景にドン引きのノア。


「そんなこと言ってる場合じゃないわ! 早く消火器を!?」


 火のついたラーメンが床に撒き散らされたことで、各地へと引火して燃え広がっていく店内。


「おのれ帝国め! 空襲とは姑息な真似を! 妾をこのような目に合わせるなど、皇国が黙っておらぬぞー!?」


「お嬢様! そんなことより今は避難を!」


「あ、執事まだいたんだ……」


「うわぁああ!? 皆さん非常口はあっちですぅうー!」  


 ***


 20xx年。こうして『コルボ』は、帝国(?)の空襲(?)により、炎に包まれた。


~「魔法カフェ『コルボ』へようこそ!」~


        (完)


 「ぼんげ」先生の次回作『勇者ユーリ=ハサマールの冒険』にご期待下さい!


         









         










 ***


 ちなみに火は、通りすがりのヤクザの皆さんにより消し止められたそうです。


 あと、もちろん最終回詐欺です。まだ終わりません。作者のネタ切れまでは……。

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