歩きスマホで転生中。
狩野すみか
第1話
歩きスマホはダメだけど、買い出しの帰りに小説投稿サイトに接続して、人気の小説を読みながら帰ることが出来るのは嬉しかった。
今まで、親が、超がつくほど過保護で、夜暗くなったら、歩いて帰ったこともなかったけど。
そんな両親も、昨年の春、交通事故で呆気なく他界。
私は、今まで散々縛られて来たのに、急に自分のことは全部自分でやらなければいけなくなって、食材や日用品の買い出しに追われていた。
ペーパードライバー講習を受けて車に乗ることも考えたけど、維持費の高さに驚き、車も廃車にしたので、両肩にエコバッグを下げて、弥次郎兵衛みたいになって歩いて帰ることが多くなった。
タクシーを使う気にもなれず、駅前から、両親が丘の上の、スーパーもコンビニもない住宅地に建てた家に、二十五分以上かけて帰宅するのは、小中と、それ以上の時間をかけて通学していた私にとっては慣れっこだったけど。
本を読みながら帰るわけにもいかなくて、モヤモヤしてた。
お地蔵さん前の交差点で、信号が青に変わったことを確認してから、私は横断歩道を渡った。
大学生の頃、下宿していた埼玉出身の友達が、信号機が少ない京都の夜道で、「信号は当てにならない。臨機応変に、車の流れをよく見て渡らないと危ない」と言っていたけど、珍しく、白の大型車が勢いよく交差点に突っ込んで来て、私の意識は途絶えた。
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