第3話
帰りの飛行機に乗りながら今回の修学旅行を思い返してみた。
まず、空港についた俺達を待っていたのは、日差しが暑いくらいの快晴だった。無事、台湾についてよかったってまず思った。2年生のスケジュールとしては、1日目に台湾の高校との交流会をはかるイベントがあり、2日めは班行動で現地の大学生と交流とかする日、3日目は台湾の伝統的な場所をバスで巡った。
好き嫌いはないけど、不安だった食事についての感想だ。驚いたことに台湾では、食事中のお茶はジャスミン茶を出すのが普通らしい。これは3日間過ごして思ったことだけど、毎食ジャスミン茶だったから慣れてしまった。もともと得意じゃ無かったけど、飲めるものがなくて飲むしか無かったから飲めるようになってしまった。あと、自販機がなくて水分が取れなくて困った思い出がある。
ご飯自体はなんか食べ馴染みも感じるし、美味しいから、ご飯に対する不満はなかったのがなんか変な感じだ。多分学校側の配慮とかもあって、慣れ親しみやすいお店とかをチョイスしてるんだろう。お店の雰囲気も学生が気後れしないような感じのところばっかりだったし。鶏肉のやつおいしかったなぁ…名前わかんないけど。
そして2日目の班行動は、現地の日本語を少し話せる台湾人の大学生と共にグループで行動する、というものだ。俺達は、著名な名所を巡るっていうよりかは日本でいう原宿みたいな感じのところに行ってグルメツアー的なのをする予定だ。
「5班担当の者です。よろしくおねがいします」
「よろしくおねがいします!!」
(カタコトだったけど、ちゃんと通じそうな人でよかった…)
担当の現地の大学生は、女の人だった。ちなみに、そのグルメツアーする場所までは電車を乗り継いで30分くらいのところなので切符を買う必要がある。台湾の電車は割と日本と同じ感じで、あんまり海外に来た感じがしなかった。
ただ、違いとしては、電車内で飲食が禁止なことくらいだ。あんまり汚いとかもなくて清潔感もあった。ちょっとアナウンスが違う言語でそこでやっと『あ、ここ台湾だ』って感じるくらいだった。
それから何故か電車が混雑していて、満員電車状態だった。俺が班長だったから、大学生、俺、山下さんみたいな感じで乗ったら山下さんと思った以上に密接状態になってしまった。俺は、痴漢にはなりたくないので、掴まるところがちょうどなく手をあげられなかった。胸の前で手を握って縮こまる。
(詰んだ。俺、痴漢になりたくない。大学生の人にも当たりそうだし、失礼だけど山下さんの胸はそこまでないから斉藤さんみたいに、押し付けられることはないだろう)
好機だと思ったのか、山下さんは若干だけど俺に近づいてきた。山下さんは俺に対してななめに立ってるから若干お尻に足がかする。
「山下さん、ごめん」
「え、何が?」
ちょっとだけ口角が上がりながらも知らんぷりする山下さんに、確信犯だって思った。この電車にはあと7分のるし、快速みたいなのに乗ったらしいから7分止まらない。山下さんの行為は悪化して、俺にお尻を押し付けてきた。
悲しいことに、山下さんと身長の変わらない俺は山下さんのお尻があたる位置が自分の腰なことに落ち込んだ。そして、山下さんがあまりにも俺に近いので、池崎さんが助け舟を出してくれた。
「花鈴ちゃん、立ってるの辛いなら場所交換しようか?めっちゃ田中くんによっかかってるように見えたから…私の場所だったら壁よっかかれるよ」
「…心配してくれてありがと。けど、大丈夫だよ!ちょっと初めて海外来て疲れただけだから」
舌打ちしそうな顔で振り向きかけてたけど、池崎さんの方向く頃には笑顔になってた。女の子こわい。おかげで俺は電車内で平穏に過ごせた、のかな。これ以外で山下さんは変な行動起こさなかったから、安心した。
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