第2話
今日の総合は、修学旅行に向けた班決め兼勉強会だ。修学旅行先は台湾だ。俺の時は長崎とかだったから最近の修学旅行は海外なのか、なんて思ってしまった。本当に、最近の学校は進化してるんだなぁと思う。授業の半分は台湾に関する勉強だったけど、生徒側からしたら班決めが一番のイベントだ。
「それじゃあ班決めを今からしまーす!基本男子3女子3のグループにするんで適当に別れてください!」
修学旅行の実行委員が明るく言い始め、とりあえず俺は晃成の元に行った。『俺、栞ちゃんと同じグループがいいんだけど、お前もすみれちゃんと同じがいいよな」スマホにそう打った文字を見せられ、俺は大きく頷いた。こないだのクラス発表もそうしてほしかった。なんで、今はスマホ使うんだ。
「じゃあ誘おーぜ。栞ちゃんと西野さん一緒の班にしよー」
「田中くん、あたしも同じ班になってもいい?」
そう言ったと同時に山下さんから誘われた。正直同じ班だと、一日中一緒に行動しなきゃいけないから、なんかイベント起こりそうで怖いからちょっと嫌だ。けど、断るのも悪いし…なによりチキンな俺には絶対にできない。迷ってどうしようと考えてたときだった。
「山下さんじゃん。全然OK!!」
(おっふ。晃成勝手にOKしないで)
晃成に勝手に許可された。根が悪い子では無いと思うから、そんなべったりしてくるような真似は班行動のなかでは流石にしないだろう、と願う。あくまで、想像だけど。そこまでしてこの世界は俺と山下さんをくっつけようとはしないだろう。
「ちょっとー晃成―、俺も入れてー。なんか余っちゃたんだよねー」
「え、なんで明るいお前溢れてんの。全然来いよ」
次に晃成とよく昼練に行ってるバスケ部の男の子が来たが、全然大丈夫だ。いつも元気な感じの子だから一緒に班行動しても、きっと楽しい修学旅行になるだろう。
「え、晃成ありがと、うちめっちゃ修学旅行楽しみになった」
「私で良ければ…」
そしてついに、すみれちゃんと晃成の彼女さんから班に加わることへの答えが返ってきた。
「西野さん、そんな自分を卑下するようなこと言わないでいいんだよ」
「田中君…けど、私以外のメンバー皆明るくて華やかな人たちばっかりだから私がここいて良いのかなって思っちゃって。それに高橋君に誘われた時に、他の女の子たちからなんであんな子誘うの?みたいな顔されたし…」
「本当は俺が西野さんと一緒に班行動したかったけど、言えなくて晃成に言ってもらっただけだから気にしないで。それに、そんなことするような女の子は良く無いと思うし」
俺のすみれちゃん、ちがう。まだ俺のではない。すみれちゃんにそんな下衆いことする輩はどこのどいつだ。って思ったけどしょうがない。晃成の顔良いもんな。なんか最近モデル活動みたいなの始めたみたいだし。
部活と両立むずいから部活やらせてくれるなら、って言う条件でやってるみたいだけど。そんな晃成は割と女子皆から組みたがられてたから、そうなるかもしれない。にしてもひどくないか?
「田中君、そう言ってもらえるとなんか恥ずかしい。けど、ありがとう」
なんか良い感じの雰囲気になってしまい、俺も気恥ずかしくなる。
「お、話まとまった?俺ら6人で回るってさっき実行委員に出してきたから、皆よろしくな」
「さっすが晃成。顔だけじゃなく性格までイケメンとか…知ってるけど。神様ひどーい。俺泣いちゃう。なんでそんなイケメンなんだよ、コイツめ」
笑いながら軽口がいえるみたいだし、やっぱり晃成とは仲が良いんだろう。
「晃成ありがとう」
皆口々に晃成にお礼を言い、この授業はお終いとなった。余談だが、俺が西野さんを誘いたくて晃成に言ってもらったって言うのが、クラス中に知れ渡り公開片想いみたいになってしまった。猛烈に恥ずかしいが、すみれちゃんに対する嫌がらせは起こらなさそうなので良しとする。
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