第25話
ホワイトデーのお返しには意味があるらしい、ということは給湯室での同僚の話で覚えている。お菓子にはいろんな意味があって好きにも嫌いにもとられる、ということだけしか覚えてない。もちろん、どれがどんな意味だか知らない。
無難かどうかわからんけど、俺は紅茶のパックが2個から3個入ったミニギフトを配ろうと思う。これが、良い選択か分からないけど悪くは無いと思いたい。それにメッセージカードをつけて百均の紙袋にいれて手渡すつもりだ。
低予算で作りたかったから、1人500円ちょいくらいで抑えてしまったがみんなもそのくらいの予算であげるよね?ただのお返しってそんなもんでいいよね!?俺間違ってないよね、なんか不安になってきた。
(でも消えものだし…良いよね?)
とりあえず、斉藤さん家から渡しに行く。
「斉藤さん、田中です。チョコのお返ししに来ましたー」
「はーい!!」
ガチャリとドアを開けて、斉藤さんが出てくた。ベビードール姿で。なぜ、下着姿なんだ。びっくりして言葉が出てこなくなってしまった。
「ちょ、あ、あの。これお返しです。ありがとうございました!!!」
「え、和樹く」
お礼の紅茶は斉藤さんに押し付けて家に逃げ帰ってしまった。ベビードール姿で乳首バリバリに透けてた。俺だからいいものの、もうちょっと危機感持って生活してほしい。けど水色のフリフリした感じで、すみれちゃんに着てくんないかなぁなんて考えてしまった。ていうか斉藤さんなんか最後言ってたけどぶった切って帰っちゃったけどいいよね。
学校についてとりあえず、先に登校してた山下さんにお礼を渡しに行く。ちなみにメッセージカードの内容は、お菓子のお礼と一応感想だ。感想はメモに残しておいたから大丈夫だと思う。斉藤さんにもちゃんと伝わってると思う。
「山下さーん。チョコのお礼。バレンタインはくれてありがとうね」
「え、あたし田中くんからお礼もらえるなんて思ってなかった!ありがとう!!家帰ってからゆっくり見るね」
とりあえず、喜んでくれたようなのでなによりだ。
「いや、気持ちだけだからそんな楽しみにしないで」
「何でも良いの。くれた、っていう事実が嬉しいの」
(そんな豪華なものあげたわけじゃ無いんだけど…すっごい笑顔で喜んでくれてるので、なんか安物あげたのが申し訳なくなってしまった)
あげたやつの写真を撮ってる山下さんから別れ、登校してきた上谷さんにお礼を渡しに行く。上谷さんはもう友達とお返し交換会的なものを開いたのか、手に紙袋をいくつか持っていた。
「上谷さん。はいこれ、バレンタインのお礼」
「くれるの!?ありがとうー!!」
(喜んでくれてなんかこっちも嬉しいな…)
とりあえず今日の俺の任務を無事に終えることができて良かった。ホームルームを終え、授業に向かう。今日の一限は体育なので、男女別々だ。着替えてる最中に、晃成からさっきあげてたお礼について聞かれた。
「和樹―。お礼なにあげたんー」
「お礼のメッセージカードと、プチ紅茶ギフトあげた」
「なんだよ、飴とかじゃねーのか。飴だったら面白かったのに。とりあえずホワイトチョコあげてなくて安心したわ」
飴とホワイトチョコに意味があるんだろうか。チョコだし、ホワイトチョコでもよくねって思ってしまうんだが。
「なんだよ、意味しらねーの?飴は好きって意味で、ホワイトチョコは嫌いって意味なんだよ。俺はもち、彼女ちゃんに愛を伝えるために飴缶あげたもんねー」
「そうなんだ。とりあえず、すみれちゃんにチョコ貰ったら飴あげればいいのね、了解」
「もらえたらの話だけどな」
妄想したって良いだろ。別に羨ましいなんて思ってないんだからな。それに絶対、俺はすみれちゃんからバレンタインを貰ってやるんだからな!!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます