第6話
「…であるから、この表現は主人公の心情を表していて…」
今日の4限は国語で例のエロい女教師こと白井明美先生だ。白井って苗字なのに赤が好きらしく、どこかしらにワンポイントで赤が入っていることがほとんどだ。
(入学式も赤いスカート履くぐらいだから、相当赤になんか意味込めてんだろうな)
今日の授業は、よくある現代文の授業だ。文系だった俺からしたら、国語はもう受け飽きたっていう気しかわかない。けど毎回国語の授業を受けるたんびに思うことがある。
(なんか、白井先生とすごく目が合う気がする…)
そう、よく目が合うのだ。俺だけの気のせいであってほしい。生徒×先生なんてありふれた展開だからこそ、俺はこの先生になるべく近づかないようにしている。なんなら、晃成から聞いた話によると年は26歳でこの学校が初の高校らしい。そして気に入った生徒がいると、ボディタッチとか特別課題と称して一緒に居残りをさせられるらしい。ということを聞いた。
(単純にやべえ奴じゃん)
そうこうしている内に授業が無事終わり、昼休憩である。今日も晃成と中庭で食べる予定だ。
「晃成―。昼食べ」
よう、と言おうとしたところで遮られた。
「悪い!俺今日バスケ部の昼練あって、一緒に食べれない!!」
「…おっけー。今日は1人で食べるわ。練習がんば!」
そうか。1人か。ここ1ヶ月は晃成と食べることがほとんどで、社畜時代のように1人で食べること感覚がなくなってきていた。
(まぁ、たまには1人で食べるのもありか)
このとき、授業の片付けをしていた白井先生に会話を聞かれたような気がしたが、気のせいだと思いたい。きっと俺らの会話が響いてただけだろう。中庭について、今日の菓子パンを食べようと思った時だ。
(げ、これ消費期限すぎてんじゃん!しくったー…今日の昼飯パン1個か。辛い)
社畜時代は昼飯抜いても平気な日が多かったが、男子高校生の体ともなると代謝がよくてたくさん食べないと空腹で死にそうになる。
「あら、今日も菓子パンなの?それじゃ健康に悪いわよ」
後ろから、白井先生に話しかけられた。周りに人は誰もいない。俺は身の危険しか感じなかった。ちなみに今日の白井先生の赤のワンポイントはおそらく口紅だろう。
「いや、一人暮らしで毎日弁当作るのがだるいだけなんで、大丈夫ですよ」
「それなら、わたしが田中くんのお弁当、毎日作ってきてあげようかしら。ちゃんと愛情もたっぶり込めるわ」
弁当食いたい気持ちはあるが、この先生なんか変なもの入れそうで怖くて食べれない。
(てか、愛情込めるって言った?入れなくていいし!)
そもそも生徒の弁当を担任でもない先生が作って持ってくるって、どういう状況?きもいだけだろ。
「いえ、先生のご迷惑になってしまいますし…遠慮しておきます」
「迷惑なんかじゃないわ!好きな生徒のお弁当を作るのなんて幸せでしかないわ」
ナチュラルにとなりに座ってきた白井先生は、上目遣いでこちらを見つめてくる。なんなら俺にしなだれかかってきている。
「あ、あの先生。近いです」
「ねぇ、田中くん。いや田中和樹くん…先生と秘密の恋愛してみない?」
単位落ちてもいいからこの状況から逃れたい。なんか知らない間に腕も組まされていて先生のおっぱいが当たっている。
「結構です!俺好きな子いるんで!!!」
頑張って解いて逃げられた俺は偉いと思う。ちなみにこの話を晃成にしたら、お前そんなエロ漫画みたいな展開あるわけねーし、夢の中のできごとだろって笑い飛ばされた。
(そうだよな、俺も妄想であってほしかった)
学校での平穏な日々がどんどん失われていく。俺は真っ当にこの学校で3年間過ごせるのだろうか、不安だ。
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