骨になった私の異世界道中

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第1話 骨

「……どこだここ? てか何で外にいるの?」


 目を覚ますと何故か地面に寝っ転がっていた。

 確かに自分の部屋で寝ていたはずなのに。

 上半身を起こし辺りをぐるっと見回すが、視界に入るのは木、木、木、である。


 寝ている間に移動した?

 夢遊病?

 それとも何かのドッキリとか?

 誰かに攫われて捨てられた可能性?


「……夢か?」


 ベタだけど自分の頬を抓ってみる。

 が、手の指に伝わる感触がおかしい。

 なんか、硬い。


「手も何かおかしいような――!?」


 指先を確認しようと手を見ると、視界に入る自分の手が、なんか白い。


「……骨だ」


 立ち上がり自分の身体を確認する。

 この前買ったお気に入りのパジャマの袖からは白い骨が見えている。


「……まじか。全身骨じゃん」


 なんだこれ。

 目を覚ましたら骨になって知らない土地で寝てた件。

 なんだこれ。


「なんだこれ」


 うーん、としばらく一通り考え込んでみるが、考えたところで何も分からない。

 分かることと言えば、寝てる間に骨になって外で寝ていたということだけ。


 全身骨なのになんで動けるの?

 骨なのに五感があるっぽいのはなんで?


 疑問点はいくつかあるが……まぁ、いっか。


「分からないことをいつまでも考えていてもしゃーなし」


 全身骨になった今のところ、特にこれと言って不利益もない。

 元々自分の外見に頓着など無いのだ、むしろ色々気にしなくて良くなりありがたいまである。


 肉が無くなりユルユルになったパジャマのズボンのゴム紐を締め直す。


「裸足でも痛くないのはラッキーだな」


 骨の身体に少しだけ感謝しつつ改めて周囲を確認する。


「……はぁ」


 さて、どうしたものか。

 骨なのにため息をつけることに少しびっくりしつつ、私は森の中で立ち尽くすのであった。



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