はじまり。

第1話 転生ボーナスを貰います

死んだ…………




…んだと思う。

って言うのも目が覚めたら、いや、感覚的には気がついたら。くらいの意識で知らない所にいた。



周囲は見渡す限り白。家具もなければ壁も天井もない。…どこに立ってるんだ?これ。

永遠と白の世界だ。



『目が覚めましたか?』



どこからか声が聞こえる。

幻聴か何かなら良いんだがお約束的に女神に準ずるものだろう。



とりあえず声の主を探す。脳内に直接語りかけるパターンなら無駄な行為かもしれないが。



居ない。脳内に語りかけるタイプか。



『真上です』



居た。普通に居た。こういうので真上に居るってそんなことある?



「貴女は一体…?」


『女神です』



テンプレすぎる。

チートな能力を幾つかもらって異世界ハーレム!ってやつだこれ。

気分上がるー!



『テンション上がっているところ申し訳ないのですが…残念ながら異能は1つだけです』



しまった。思考を読み取ってくるパターンを忘れていた。この美人さんに失礼な事考えてなかっただr


『好感度を稼いでも1個に変わりはありませんよ』



なんだよ媚び売って損した。1個だけかよケチくせぇなぁ…



『かと言って好感度を下げたらどうなるか、とは言ってませんが』


…クゥン(つぶらな瞳)


『…冗談ですよ』


『さて。異能は無理のない範囲でプレイヤーの希望を反映するようになっています。希望はありますか?』



プレイヤー…?随分とゲームじみた呼び方をするな…

流行りのゲームの世界に転生!みたいな展開だろうか?俺最近のゲーム知らんよ?事前知識で内政チート!とか隠し要素で開幕無双!とかできんよ?



さておき異能…異能ね。

これもゲームに置き換えればスキル、アーツとか呼ばれる部類だろう。


1個ってのがこれまた難しい。

せっかくの異世界だ、魔法ドッカーン!も浪漫があって良いが死んでしまったら元も子もない。


…そもそも魔法あるのか?



「あの、魔h『ありますよ』



被せてくるこの人。いや女神か

思考を読んでるから当たり前ではあるんだが面倒くさくなってない?この女神。

貴女に見捨てられたらいよいよもって終わりだよ?こちとらどこ行くのかも分かってないよ?



『そうですね…折角ですので転生していただく世界についてご説明しましょうか。まず転生先の世界はドラスィールという名前で…』



女神の話は纏めると剣と魔法の世界で亜人も魔物もいるオーソドックスなRPGをイメージさせられるものだった。


なんか歴史的な話が多くて話が頭に入ってこない。かい摘んじゃうのも仕方ない。と思う。



『…聞いてます?』


「ああもちろん。とっても勉強になりました!」


『思考読めるんですがね』



そうだった。バレてら

しゃあないじゃん。歴史の授業とか寝てた人間だ。

知らない世界の歴史的な解説されても全く頭に入ってこない。



『まぁ油断したら命を落とす世界だ、ということは伝わってるみたいなので良いとしましょう…』



そう。そこである。

下手な異能を選んでしまうと詰んでしまう。

大冒険とか言ってられなくなってしまうのである。


そもそも転生先はどういう立場なんだろう?

王族の出とか貴族出身…生まれに恵まれていれば浪漫に生きても良いんじゃないか!?



『えーっと…笑 市井の出、所謂庶民ですね!村人ってやつです』



なにわろとんねん。

RPGかと思ったらサバイバルゲームだった。

生命の危機が近い…近いよ…



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悩むこと30分。一つの結論に達した。



(1にも2にもサバイバル。いのちだいじに!で行動したほうがいい。)



「見た物の効果を理解できたりする鑑定?みたいな能力と、対象がどう動くかを予想できる見切り?みたいな能力を合わせた目…なんて貰えないですかね?」


冒険には定番な鑑定スキルと身の危険を知れる見切りスキルがあればそう簡単には死なないはずだ…


空腹で口にしたら毒でした!とか、

死に物狂いで手に入れた装備が呪われてました!とかほんとに洒落にならない。



『ちょっとだけ初回特典の異能としては過剰な強さですけど貴方の死因を考えるに少しサービスしても良いかもしれませんね』



死因…そういえば俺はなんで死んだんだ?

一切の記憶がない以上ここでしか知る機会はないだろう。



『散歩中に頭上から降ってきた植木鉢に当たって死んでます』


「女の子を助けたとかそういう背景は?」


『ありません。事故です。』



なんてこった…ダサすぎる…

植木鉢?トラック転生とか誰かの身代わりに刺されて転生とかあれだけあったのに!?


でもなんでそれでサービスに繋がるんだ?



『ちょっと神間で不手際がありまして…ね?』



ね?ではない。普通にやらかしてる神様達


しかし神間、というくらいだ。言い方からして目の前の女神がやった事ではないっぽいので攻めるのはお門違いという物だろう。




「まぁそういう事ならサービスお願いしますよ。とびっきり良い目をお願いします。」


『ただ…その異能でも構わないのですが目から得られる情報に脳が処理しきれず普通なら死んでしまうでしょうね。』



あかん。あきまへんやんそんなん。

ダメ過ぎて下手な関西弁が出てしまった。

ゾンビ取りがゾンビになってしまう。


え?ゾンビじゃなければ意味も違う?

伝わりゃいいんだよ伝われば



「なんとかならないんですか?神様パワーでぐぐぐーっと」


『異能は1つしか授けられないので…そうですね。レベルアップ機能を搭載しましょうか。』


『使いこなしていくうちに得られる情報が増えていくようにすれば脳も慣れるでしょう。』



なーんか力技な気もするが貰えるというのだ。ありがたい。これぞ神様パワー。



『それでは貴方には【心眼】の異能を授けます。頑張ってくださいね。良き人生である事を。』



周りの白がさらに光を増す。

眩しさで目を瞑り、光が収まるのを待つ。






================================






「**** ** *****!」


意味を理解できない言語と共にドタバタという足音が聴こえる。騒がしいな?



少し経ち、ようやく目も光に慣れてきて辺りを見渡す。

そこには精神年齢と不釣り合いなぷにぷにの小さな手。



「***** ****!」


「*** ***** ***** **!」



あ〜…

言語翻訳無しの赤さんスタートですか。

これはハードモードすぎる…

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