彼氏彼女の恋愛ミッションインポッシブル。

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第1話


「ねぇ、そろそろ僕たち付き合おっか」


「ふふ、何?その熟練カップルがプロポーズするような告白」



「いや、なんか今のままの友達関係だと、なんかその…不安になっちゃってさ。美弥みやが告白されてる処をこの間、偶然見ちゃって…さ…その」


「あ~~、はは、あれ見られちゃってたかぁ〜」



「それで、その、このまま何もしなければ、いつか美弥がその…誰かの彼女になって、お嫁さんになって…なんだか、そんな想像したら堪らなくやるせなくて…だから…その、こんな女々しい男で申し訳ないけど、どうか僕と付き合ってくれませんか?」


「ん〜ふふ、どうしよっかなぁ〜。って嘘ウソ!そんな捨てられた仔犬みたいな顔しないでよ、もう」



「だけど」


「いいよ」



「え?」


「だから、いいよ。付き合おっか、私達」



「あ、ありがとう!美弥みや!」


「ふはっ!けいちゃん、喜び過ぎ」



「だって!僕、本当に嬉しくって!」


「ふふふ、よろしくね、これからも」



「ああっ!もちろん!」



 こうして、僕たちは彼氏彼女になった。




 告白したあの日から、お付き合いが始まったけれど、やっている事と言えば、今まで通りの付き合いで、一緒に図書室で好きな本を読み合ったり、感想を言いあったり、映画化した原作を読んで、休日に一緒に映画に行ったり、好きな食べ物をハシゴしたり、ウィンドショッピングしたり、一緒に勉強したり、何時も2人っきりでは無かったけれど、それでも毎日、美弥みやが誰かに奪われる不安にさいなまれない毎日が、本当に心の底から楽しかったし、嬉しかった。



 そんな毎日を送りながら1年の歳月が過ぎた。



 美弥みやは年間のイベント事には関心が無いらしく、周りがバレンタインだのクリスマスだのと騒いでいる中、何事も無かったかのように全てをスルーする。


 出会った当時からずっとそうだったから、僕は一切いっさい気にしていなかったけれど、恋人になっても美弥みやの感覚は一切いっさい変わらなかった。



 本人いわく、


「別に、毎日がイベント事でも良いんじゃない?決まった日付けとかにこだわるのって、何かゾワゾワしない?」


 との事。



 まあ、僕は別にゾワゾワもしないし、何ならそういった記念日的なのにこだわるのって女性の方なんじゃ?とも思ったけれど、そんなのも含めて美弥みやの事が好きになったのだから、特に気になってはいない。


 いないけれど、そんな話題が出て、周りの友達とそんな話をしたりすると、何か騙されてんじゃね?とか言ってくる。



 別に、もし騙されていたとしても、僕は美弥みやの事が大好きだし、中学からの初顔合わせから結構、仲が良かったのだから、そんな事する人じゃ無いのも僕は知っている。


 大体、何を騙すっていうのだ。



 そんな1年の間に、良い雰囲気になって隠れてキスだってした。


 高一の夏休み、友達をズラズラと引き連れての花火大会。



 素知らぬ顔で、2人っきりで抜け出して打ち上がる花火をバックに初めてのキスをした。


 暗くて良く顔が見えなかったけど、きっと2人して顔が赤かったに違いない。



「あはは、キス…しちゃったね」



 美弥みやは照れながら、呟いてきた。



 僕はその場で美弥を抱きしめて、またキスをした。


 美弥も受け入れてくれていた事に、僕は有頂天になっていた。



 花火大会の帰り道、僕は一緒に来ていた友達に先に帰るメッセージを送り、美弥と一緒に手を繋いで帰った。


 世の中の彼氏彼女は、そのままお持ち帰りとかするのだろうが、僕はそこまで出来る勇気を持ち合わせていないヘタレだし、美弥を大事にしたいので、きちんと家に送って行った。



 ご褒美なのか、家の前で頬にキスをくれた。



「おやすみ、圭ちゃん」



 そう言って美弥は照れながら自宅へ入っていった。



 頬へのキスなのに僕はその場で腰が抜ける様な感覚に襲われた。


 美弥から進んでしてきたキスと、ハニカムような照れた笑顔に僕の心臓はバクバクと壊れるんじゃないかと思うほどに鳴り響いていた。








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