第16話 仲良くしよう!

「お前喋れたのか?」


僕とさっきまで戦っていたドラゴンがいきなり言葉を喋った。


「ワシはいつでも喋れたぞ」


このドラゴンは聞き覚えのある喋り方をする。


「この綺麗な体に傷を着けるなんてお主はワシの事を親の敵かなにかと勘違いしておるのか?」


この一人称がワシと言うのはイリスと初めてあった時と同じ。

モンスターの一人称は皆年寄りの喋れ方なのか?

僕はそんな変な事を考えてた。


「おい!聞いておるのか?」


ドラゴンはそう言って僕の頭を軽く叩いた。

ドラゴンからしたら軽いパンチでも僕からしたら重たい一撃。僕はそのまま気絶した。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


パチパチ音がする。

僕は目を覚ました。


「あのクソドラゴンめ!」


僕は自分が気絶した原因のドラゴンを思い出した。


「誰がクソドラゴンじゃ」


「お主ワシを何だと思っておる!?」


「お前!」

「絶対に◯す」


僕はそう言って戦闘の準備に入る。


「まぁー待て」

「気絶したミナトにトドメを刺さなかったのだから許してやっても良いと思うぞ」


そう、僕に言ったのはイリスだった。


「イリス、もう大丈夫なのか?」


「あぁ、お陰様でな」


イリスはさっきよりも元気になっていた。


「よかった」


僕は安心した。


「まぁそれよりもイリス」

「お前、世界征服したいってなんだよ」


僕はあの戦いの時にイリスが口にしたことを聞いてみた。


「あ...あれは...その.......」


イリスは恥ずかしそうだった。


「あれは私の昔の夢というか...その...」


イリスの表情をみて僕は笑った。


「そうか」

「でも、僕がいる間は世界征服なんてやめろよ」


「わ、わかっておる」


僕はこの会話が楽しく思った。


「あとさ、魔力のことなんだけど」


僕が一番大切なことを聞こうとした時、部外者が口を挟んできた。


「な、なぁワシも混ぜてくれんかのぉ」


ドラゴンは寂しそうに言う。


「てか、お前を倒さないとアイテムがもらえないじゃん」

「コイツやっぱり倒すか?」


僕はイリスに聞いた。


「ま、待てって」

「お主はワシに助けられた事を忘れたか?」


「助けられた?」


僕はいつこんな邪竜に助けられた?


「お前が頭から血を吹かして倒れたあとワシがそこの小娘を起こしてお前さんを助けるようにいったんじゃ」


「そっか」

「それはありがと、でも原因はお前だよな」


僕はドラゴンをみて言った。


「やっぱり◯すか」


僕は再び攻撃しようとした。


「待てって」

「ミナトコイツの話しも聞いてみたらどうだ?」


イリスが僕をなだめようとする。


「わかった」


僕はイリスの言う事に従うことにした。


「今回の戦いはお主らの勝ちだ」

「しかし、ワシもこれ以上傷を付けられるのも嫌じゃ」

「だから、和解してワシと仲良くせんか?」


「しない!」


僕は即答した。


「お主そんな事をいってもいいのかのぉ」


ドラゴンは自信気に言う。


「どういう事だ?」


ドラゴンは奥の部屋を空けた。

そこには金銀財宝と本が一冊。


「おぉ」

「これ全部くれるのか?」


僕はドラゴンの言っていた事を理解した。

和解すればすべて貰える。


「よし、和解しよう」

「だからすべてもらうぞ」


僕はそういって宝の部屋に入ろうとした。

その時ドラゴンが扉を閉めたのだ。


「おい、何をするんだ」

「くれるんじゃなかったのかよ」


僕はドラゴンに訴える。


「あの金や宝石たちはいいぞ」

「しかし、本はだめだ」


ドラゴンは本以外はくれると言う。しかし僕は一応理由を聞くことにした。


「なぜだ?」

「ワシはあの本を守るように言われてるからだ」

「まぁでもどうしても欲しいというなら条件つきで上げてもいいが」


ドラゴンがまた自信を持って言う。


「いやいい」


僕は断った。どうせ条件なんてろくなことじゃない。

僕には『読破』がある。持ち出さなくても読めればそれでいい。

そう思い、僕は部屋の金銀財宝をバックに入れスキル『読破』を使った。


しかし、『スキルが使えません』と表示される。

何度もしてみるが一項に上手くいかない。


「まぁいいか僕には沢山スキルあるし」


僕は本を置いて部屋から出ようとした。


「本当にいいのかミナト」

「この本はお前が集めようとしている魔法の本じゃないのか?」


イリスが僕に言った。


僕の旅の目的。元の世界に帰るために特別な魔法を集めないといけない。

最初の一冊がすぐ目の前にある。ほしい。何としてでも。

でもその条件が...

こんな邪竜の条件を飲むことなんて。


ドラゴンは僕の表情を見てとてもニヤニヤしていた。

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