何色にも染まらない
桂木 京
何色にも染まらない
「本当にありがとうございました。あれだけの事態を収めてもらって、これっぽっちの報酬と言うのは、申し訳ない気がしますが……。」
スーツ姿の男が3人、俺に向かって少し厚めの封筒を差し出す。
「仕事に大きいも小さいもねぇ。俺は仕事をして、決まった額だけ金をもらう。ただそれだけの事だろう。」
「あ、ありがとうございます……。」
差し出された封筒を受け取り、中身を確認する。
古い札で、100枚。
これが、今回俺がこの男たちに提示した金額だ。
「本当に助かりました!」
「この街で店を開こうと思うなら、この街の裏社会についてもしっかり学んだ方が良い。『こっちの世界』に首を突っ込みたくないなら、もっと田舎の穏やかな場所で店をやるんだな。」
早く出ていけ、と俺は煙草の煙を吹きかける。
男たちはおずおずと去って行った。
「ったく……。こんな仕事で食っていけるんだから、この街にはつくづく馬鹿しかいねぇんだな……。」
とある街の、とある小さな事務所。
俺はここで、『仲介屋』を営んでいた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます