Dizzy

星るるめ

Dizzy

ああ僕があんなだったら


どんなによかっただろう


何度聞いた台詞か


何度言った台詞か


引っ張り出して放り投げた胃を


急いで押し戻したような


そんな痛みと不快感と虚しさだ


君はすり減らしながら


失いながら


時の風に乗って流れてゆく


いつの日も本当に


美しくて目が眩むよ


正誤などわからない


人生に次はないのだし


憎しみ合う両者の


そのどちらの言い分も


間違ってはいない時


僕は自分の非力さと無力さを


ただ噛み締めている


枯れ葉を縫い合わせて


できたような体は


歩くたびひび割れ欠けてゆく


風が吹けばカラカラと


虚しい音だけやけに騒がしい


何かを求め何かに向かえば


優しさもあたたかさも


全てこの隙間から


すり抜けていくようさ


画面の向こうの彼女は今日も


綺麗な言葉だけ標本にして飾る


素敵だね


とても素敵で恐ろしい


dizzy dizzy dizzy


僕はもう立っていられない


やがて僕もあの赤い波に飲まれ


静かに取り込まれてゆくんだね

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Dizzy 星るるめ @meru0369ymyr

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