努力は大抵は報われない。だから、しなくていい。

無駄。

今、この文を見ているということは、君は努力をしないことへの免罪符を探しているような愚か者だと予想する。気が合いそうだ。友達になろう。

　こんなセリフを親、或いは先生殿から聞いたことはあるだろうか。「○年後、笑っていたいでしょう？」著者である私の場合は「大人になって苦労したくないでしょ？」であった。そして、「なら、今頑張らなくちゃね」のセリフで締めくくられるのである。ああ、なんとも。なんとも見通しの浅い、無責任な言葉である。しかし、そんな中身のない言葉だからこそ、純粋で単純な人間はこの言葉に引き摺られていくようになってしまう。先の見えない、真っ暗な人生という道を背中を押されるままに、足元もおぼつかないまま走り続けるのである。そして、無事走り切り、ゴールへ辿り着くのは一握り。残りは道を踏み外して、暗い底へと落ち続けるのだ。

　今の話が一体どうして「努力しなくてもいい」話に繋がらなかって？解らない人は居る？もし居るなら、私の主張は正しさをより強いものにする…かもしれないだろう。

そう、無駄なのだ。解らない理由は沢山あるだろう。単に私の頭から滲み出るこの文章は余りにも稚拙で見るに耐えない、そんな文豪さんも居るかもしれない。単になんだこれ？と理解の及ばない人も居るかもしれない。もしそうなれば私がこの文章を書いて自らの主張を伝えようとした努力は無駄になる。そして、理解できなかった人たちの読んだ努力も無駄になる。そう、無駄なのだ。多くの努力は。辛い思いをして、草をはみ、泥水すすって、やっと小さな形になったその努力は、例え池に落ちても波紋ひとつすら起こせない。とんでもない無駄である。そして、現代社会において、無駄とは多くの場合、省くべき『悪』なのだ。例外だってあるたろうが、恐らくこんなもの読んでいる時点で君はその例外の内には入らないだろう。諦めたまえ。そうした方が楽になる。少なくとも私は楽になった。わざわざ、時間を掛けて無駄になる可能性のある努力をするなんて、馬鹿げている。時間が有り余っているならそれもいいかもしれないが、凡人たる君と私にはそんな余裕はない。だから、諦めよう。

話が長いって？そんなことを思った人が居たら、私のこの熱弁はあえなく無駄になったということだ。つまり私が言いたいのは、もう少し肩を力を抜いて生きろ、ということだ。私の周りの人間も、件の言葉に囚われて、未だに望んだ未来に辿り着けず、笑えていない人間が多数存在する。そして、私がまだ見えていないだけでこの世の中にはそんな人間で溢れかえっているだろう。上を見て泥沼をもがき、やがて沈んでいくような凡人が。すぐにそんなことはやめるべきで、もっと足元を見て、満足して、笑うべきなのだ。それが凡人たる大多数の人間の生きる道だと、私は思う。余計なお世話だって？向上心のない人間は恥ずかしいだって？この文章を読んでもそのようなことを言う凡人はやはり居るであろう。そもそもこの文章を読む人間なんて両手で足りるかもしれない。そういうことを考えると、やはり凡人たる私がこの文章を書いた努力は無駄になるのである。