天国と地獄

@kamemidori

プロローグ 死亡

夜の、受験勉強に行き詰まったので、近くの自動販売機に、飲み物を買いに行くことにした。

 もう同居している母、父、それに妹である11歳の弥生はもう眠っている。

 三人を起こさないように静かに玄関のドアを開けて外に出る。

ーーー閑静な住宅街。

 その中に僕らの家はある。

 外のひんやりとした空気が頰に伝わってくる。

 信号を渡ると、僕はすぐそばの自販機まで行く。

 すぐさまお金を投入。

 僕はいつも通り、ccレモンを選んだ。

 ガラン、と取り出し口にペットボトルが落ちてくる。それを取って、歩きながら飲むことにした。

「はぁー、うめえっっ!」

勉強の息抜きに飲むccレモンは最高だ。今年で大学受験は2回目になるが、なんで1回目の時に、ccレモンという存在に気付かなかったのだろう。

 なんてことを考えながら信号を渡る。

 信号が、赤信号だということも知らずに。

ブーーーーーーーーーーン!

 いきなり爆音が聞こえた。

 横を見る。

 トラック。

 目の前。

 終わった。

一瞬でそのことを判断した。

キュイーーーーーーーーーーーン。

空中

舞い上がる。

景色、反転。

ボン、ゴツン!

地面、ぶつかる。

衝撃。痛い。

地面に倒れながら考えた。

僕は死んだんだ、と。

でもーーーー。





「おーい」

「起きてー」

「大丈夫か」

なぜか僕は目を覚ました。

 周りにはなぜか見知らぬ人たちがいる。

「ここ、どこ?」

訳がわからなかった。あたりは一面、大草原だった。

でも、もっとわけがわからなくなった。

こんな声が聞こえてきたのだ。

『浅間レン様。よく目をお覚ましになられました。ここは天国です』

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