アイテムコレクターの俺が現代迷宮で有名配信者を助けたらバズった件 ~やべっ、ドロップしたUUR武器を装備したら一撃で迷惑系配信者を倒したんだけど!?~

小日向ななつ

第1部

第1章

1︰アイテムコレクター【黒野鉄志】

 迷宮――それは様々な財宝が眠る場所。


 生える植物、石ころのように転がる魔石、散らばるガラクタに、モンスターの全てが俺達人間に影響を与える財宝だ。

 そんな恩恵を与えてくれる迷宮が、十数年前に世界各地と日本に出現した。


 迷宮が出現した現代日本に住む高校二年生の俺は、ゴールデンウィークを利用して迷宮探索をするために移動していた。

 目的はもちろん、迷宮でしか手に入らない【財宝アイテム】を手に入れ、俺こと黒野鉄志のコレクションを増やすことだ。


 ということで本日も町から東へ少し離れた場所にある駆け出し探索者御用達の【ひだまり迷宮】の通行門の前に立っていた。


「さてと、入る前に確認確認っ」


 これから始まる探索のためにリュックを広げ、準備してきた荷物の確認をする。

 携帯食料として持ってきたレーズン入り乾パンと水筒、汗拭き用のタオルに着替えの下着、あとは野宿対策で用意した寝袋と星が一つキラリと輝くバッジだ。


 このバッジは迷宮に入るために必須となるもので、探索者ライセンスの代わりになっている重要な証だ。

 星の数は探索者の実力を示しており、クエストをこなしたり新たなアイテムやエリアの発見をすると評価され増えていくシステムになっている。


 ちなみに俺はまだ駆け出し探索者。つまり新人だから星一つのバッジなんだ。

 だけどこれからたくさんアイテムを見つけ、一気に満天星へ駆け上る予定でもある。

 まだ星一つだけど、近い将来たくさんの星が輝くバッジを胸につけるんだ。


 そう思いながら俺はお気に入りの黒いパーカーの胸元にバッジをつけた。

 ちょっと寂しく輝くバッジに誓いながら、俺は迷宮へ入る準備を終える。


 よし、今日も張り切って探索するか。


 俺は出入り口に置かれている近未来的なデザインがされた通行門を潜ると、すぐに通行許可が出た。

 一応、設置されていたディスプレイに目を向け、確認してから迷宮の中へ入ると一気に空気が変わる。


 あふれる魔素が行き場を見つけ、飛び出すと表現すればいいだろうか。

 突然の突風に俺の黒い髪が揺れ、激しく乱れた。


 ここ最近、いろいろと忙しかったから髪が伸びてきちゃったな。あとで散髪しようっと。

 そんなことを思っていると通行門が閉まり、魔素は大人しくなる。

 暴れようとしていた風も一緒に静まり、心地いい温かさが広がり始めた。


 広がる森林に、不自然に設置されている岩。

 そんな大地を穏やかな光で包みこんでいるここが【ひだまり迷宮】だ。


 俺はすぐさま迷宮管理局が設置した転移装置を使い、迷宮の奥地へ移動した。

 この転移装置はどんな技術を使って作られたのか公表されていないけど、迷宮内で手に入ったガラクタから解析して作られたと言われている。

 人によっては気味悪がって使わない人がいるけど、まあ便利っちゃ便利だ。

 ただ便利だけど一方通行なんだよな。つまり行きは楽だけど帰りは徒歩。

 だから便利だけど不便っていう設備でもある。


 そんなこんなで俺は迷宮の奥地へ転移した。

 目的はもちろん、自分のコレクションを増やすためだ。


 よし、心の準備も整ったし、張り切って出発だ!


★★★★★


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