ボツ1 『レインレンジャー』
やっほー! ホメルンだよ。
記念すべき(?)一発目は『レインレンジャー』だって。タイトルでわかると思うけど、さいかわ水無月賞のお題『雨』だね。正直、もうタイトルからして迷いが滲み出てるよ。じゃあ早速、冒頭を見ていこうか。
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『レインレンジャー』
レインレンジャーの変身スーツには、口部分にジッパーがついている。演者が撮影の合間にスーツを脱ぐことなく飲食ができるようになっているのだが、もうかれこれ三時間は開きっぱなしでバージニアブレンドを燃やした煙が行ったり来たりを繰り返している。これが最後の一本。今日も恐らく撮影は中止だ。空になった箱に印字されたピースの文字が虚しい。やはり俺が世界の平和を守るには無理があったらしい。
雨をモチーフにした今期の戦隊ヒーロー、レインレンジャー。雨が降っている時だけ変身できるという斬新な設定で、戦隊ものに一石を投じようとした意欲作である。キャッチコピーは、「雨降って地固まりまくり!」。残念ながら今のところぬかるんだ地面ですべりまくりの今作は打ち切り寸前である。近年人気に陰りが見えていた戦隊ものを盛り返すどころか、取り返しのつかないとどめを刺そうとしている。
どうしてこんなことになったのか。課題を挙げればきりがないが、なんといっても問題は俺を筆頭にしたメンバーだろう。
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うん。ちょっと冗長だけど、面白そうな雰囲気はあるよ。いいじゃん! 続きも見ていこうよ!
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パタゴニアパープルは大手配信サービスの人気番組のオーディションと間違えてやってきた22歳の青年だ。喧嘩自慢の素人が格闘技で戦う番組と戦隊ものをどうやったら間違えられるのか。そしてなぜ合格するのか。俺には何ひとつわからないが、他のメンバーに比べれば幾分マシである。というか俺は彼としかしゃっべたことがない。
リーダーのレーシックレッドは大手芸能事務所に所属する爽やかな青年であったが、既に撮影現場にはいない。公には体調不良ということになっているが、歴史的駄作への出演によって経歴に傷がつかないように事務所が守ったことは明白である。ちなみにいまだ代役は立っておらず、立つ見込みもない。
紅一点、19歳のピカイアピンクは駆け出しの女性アイドルだ。大手のアイドル事務所に所属しているものの、どこかのグループに在籍しているわけではないらしい。そのアイドルとは思えないほどの無口かつ無表情で、今のところセリフがまったくない。
そして俺。若い世代だけに世界平和を託すなどあってはならない、そんなポリコレの波にのまれて生まれた、戦隊もの初の中年ヒーロー、ブルーベリーブラウン、47歳。
ヒーロー業界も不況の波には抗えず、経費削減の末、4人で地球を守らなければならないわけだが、既にリーダーが離脱済みの今、三人で撮影を続行している。昔、テレビでやっていた「残念ですが御臨終」をもじったダジャレを思い出した。
――三人ですがゴレンジャー。
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ごめんね、長々読ませて。うん、これはボツだわ。いろいろあるけど、まずこれ6000字に収まるわけないもん。あ、水無月賞って上限が6000字なのね。
一応、作者からプロットももらってるからこの後の流れも簡単に説明しとくね。
•三人のダメダメエピソード
•主人公の提案で演技の自主練を三人でする
•そこで事件に巻き込まれる(雨を使う)
•三人で力を合わせて事件を解決する
展開としては王道だし、「事件」てのでしっかり山場を作れれば一作って感じはするけどね。三人の個性をきちんとダメダメエピソードでためておいて、解決エピソードでそれをうまく反転できれば盛り上がるとも思うしね。
キャラを三人ともしっかり書くのか、それとも重みをつけるのかで、長さや難易度も変わってくるだろうけど、どっちにしても一万文字は欲しいんじゃないかな。
てことで途中でヤバいと思ってやめれたことをほめてつかわす!
そしてこれは埋葬しなくてよし。どこかで長くなってもいいからきちんと書き直そう! 一万字に抑えられるならカクコンに持ってきてもいいかもね。ただ主線ははっきりさせたいね。主人公+二人の再起なのか、三人の絆なのか、それとも登場人物の背景まで描いて家族愛なんかも絡めるのか、そのあたりはもっと深掘りして、できれば前半でテーマを提示しておきたいね。あとはキャラ紹介パートも見せ方をもうひと工夫しようか。せっかくアクションものなんだから、脳内描写じゃなくてカメラを動かしながら、各キャラの個性とエピソードを披露するなんてどうかな。
……あれ? もしかしてみんなひいてる? こんなのが続くのって思ってる? だ、大丈夫、反応見ながら探り探りやってくから。ほら、プロだって一話目と最終話でキャラが違うのなんてざらじゃん? たぶんアタシもそれだから。言ってて悲しくなってきたけど。
まあいいや、もう二千字超えちゃったし今日はこのへんで。バイバーイ!
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