4話 廃ホテルに出る霊の噂

その廃ホテルのは霊が出るという噂がある。


噂の廃ホテルは長野県の木曽町に存在する。今では人が立ち入らない廃墟になっているが、営業しいていた時期は景色も綺麗でかなり繁盛していたそうだ。廃業になったのは今から約3年前のこと、廃業のきっかけはとある噂だった。


『あのホテルに関わると呪われる』


この噂が流れはじめたのは潰れる2年前のこと。きっかけはある日旅行に来ていた一家の女の子が失踪したことだった。その女の子は失踪した約2週間後に酷い姿で見つかったという。女の子が失踪した時期は大雨が続いておりホテルの近くの山では土砂崩れが起きていた。その影響か女の子は崩れ落ちた岩の下敷きとなり下半身がない状態で見つかった。女の子の両親は悲しみに暮れ、母親は精神を病みそのホテルで首を吊って自殺した。不幸はこれだけで終わらなかった。この件を境にこのホテルに泊まった人が数日しておかしくなり自殺する人が急増した。以来ホテルに来る人は減り、経営が傾き廃業。経営者は夜逃げして管理する者もいなかったという。廃墟と化した建物は女の子事件に噂もあり地元の有名な心霊スポットになった。

そこに出る霊は自殺した母親の霊と土砂崩れで死んだ女の子の霊。目撃者の話によると廃ホテルの母親あ首を吊った207号室では娘を亡くした母親の泣き声がするという。女の子の霊は土砂崩れのあった山で目撃され、下半身がない状態で追いかけてくる。死んだ時に無くした両足をずっと探し続けているのだという。


「俺は悪くない!何も知らなかった。あいつらが金をやるって言ったっから、言う通りにしただけだ!あんなことになるって聞いてない、俺は死ぬのか?女房と幼い息子がいるのに、嫌だ、嫌だ。 あいつらさえいなければ。死にたくない、助けて

ナツミ、コウジ無事でイてクレ。

嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ

……………………

プチッ…………

ツーツーツー」


あのホテルはなにかおかしい。俺は霊やら呪いやらの類は信じていない。存在を証明できないからだ。

2024年7月中旬、「噂のホテル」実態調査。

依頼人:水谷夏実(31)

依頼内容:一年前殺害された水谷洋司さんについて

夏実さんは夫洋司さんからの留守電を受け、翌日洋司さんの死を知る。

洋司さんは長野県木曽町の廃墟で見つかった。遺体は一部白骨化し、証拠となりそうなものは見つからなかったため犯人は突き止められず。留守電の状況から他殺だとされた。その後も難航し調査は未解決のまま打ち切りとなった。

夏実さんは諦めきれず俺に依頼してきたのだろう。俺はあいつらと関係があると踏んで依頼を引き受けた。もう少しで真相に辿り着く。あとなにか決定的な情報が欲しい。引き続き調査をすすめる。


                  広瀬拓真


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