夢の食い違い

天川裕司

夢の食い違い

タイトル:夢の食い違い


元カレ「お前が悪いんだ。俺が寄りを戻そうって言っても全部避けやがるから…」


「や、やめて、そんなこと、あの時あなたもわかったって言ってくれてたじゃない…」


元カレ「お前が悪いんだ…お前が…」


「やめて…やめてこっちに来ないで!」


元カレ「ほらまた避けた…もう俺たち終わりだよな…どうせそうなるんならさ、お前やって俺もこの世から離れて、全部白紙に戻したいんだ…」


元カレ「こうしてやる!!」


刃物を持って突っかかって来たところで目が覚めた。

「ハァハァ…夢…」

私はもうノイローゼ気味になっていた。

毎晩こんな夢にうなされるようになったから。


「うなされる…もしかして…」

これはもしかして正夢じゃないかと思い始めた。

これも、もしかするとノイローゼが

なせる業だったのかもしれない。

でも身を守るためなら、その事だけに集中してしまう。


麦茶を飲んで落ち着こうとした時、

インターホンが鳴り、玄関のドアがノックされた。


「だ、誰ですか?」


元カレ「ああ俺、ちょっと近くまで来たからさ、どうしてるかなって思って」


「…え、なんで?」


元カレ「いや別になんでって事じゃないけど。あ別に寄り戻そうとかそんなんじゃないから、とりあえずさ、中に入れてくんない?」


「……ごめん、今日無理なの…」


元カレ「え、なんで?何か用事?」


「う、うん。ちょっと今日は…」


元カレ「…また俺のこと避けてんの?」


「え…」


元カレ「夢通りにしてよ」


彼はドアを壊す勢いで叩き始めた。

夢通り…これも夢の中…よく分からなくなった私は

「今起きているこの出来事全部が夢の中だから、

周りの誰も彼の邪魔をせず、彼の思い通りになってしまうんだ…」

そう思い込んでしまい、ただ怯え続けた挙句、

1つの覚悟を決めて彼に向かった。

私は結局、そのドアを開けてやったのだ。


でも、夢通りにはならなかった。


元カレ「ちょ、ちょっとなんだよお前…なんでこうなるんだよ…!」


「…あなたの夢に、こうなる夢は無かったの?」

催涙スプレーを顔に直接ふりかけられた彼は

その場にひとまずうずくまるしかなく、

その間に私はキッチンの刃物をとって

彼が持っていたナイフを叩き落とし、

逆に彼をやってしまった。


部屋の中に催涙スプレーがあるなんて、

やっぱりこれも夢の中だと思った。


「… 予知夢に使えるんだ、これ」

夢の中なら、きっと彼を

隠し通すことも出来るだろうか。

いやいや夢の中でも心の在り方ひとつで

場面は変わってしまう。気をつけなきゃ。


動画はこちら(^^♪

https://www.youtube.com/watch?v=CBhjEKgzC4Q

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夢の食い違い 天川裕司 @tenkawayuji

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