春の色相環
冬野 向日葵
第1話 白春 ―まだ何もない、はじまりの色
四月に入ったばかりのある日の昼下がり、僕らは集まった。
「青春って、なんだろう。青い春って、なんだろう」
僕は円形に並んだ六脚の椅子に座った同年代の人たちに向かって話し出す。
「僕は世の中に疑問を感じました。青以外に春はないのか、と」
座っているのは僕がSNSで集めた見ず知らずの五人と僕。
「どうやら春というのは、人生の若い時期を季節で例えたのだとか」
彼らもまた、同じ疑問を抱いて共感してくれた仲間たちです。
「では、青って何でしょう? 他の色じゃダメだったのでしょうか」
みんな一斉にコクリとうなずきます。
「改めまして僕、
正直、こんなにも仲間が集まってくれてビックリしている。二人いれば良い方かな、なんて思っていたから。
「皆さんは、青色じゃない
正直、我ながらバカなこと考えたな、なんて思っています。それに集まる人たちも人たちですけどね。
「僕にはまだ語れることがありません、なので僕の左隣の方から順番に語ってもらい、最後に僕が青い春とは何なのか、その感想をしゃべります」
でも、これでモヤモヤが解消されるかもしれないと、期待している自分もいます。
「貸会議室の時間の問題もありますので、一人につき五分程度で話をまとめてくださるよう、お願いします」
目の前にいるのは、僕なんかよりも人生経験が豊かな、同年代だけど確かに僕の先輩な方々。
「お時間もあるので、さっそく始めましょうか」
彼らもお互いの話が気になるのか、ソワソワしています。
「それではまず、田部さんからどうぞ」
僕がそう言うと、僕の左隣に座っていたの女子高生が立ち上がり、静かに話し始めました。
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