第24話

116話 激化

ザッ。ザッ。ザーーーー。

アマリリスの足音と大鎌を引き摺る音が鳴り響く。

アマリリスの目には二人の人物が写った。

その二人は向かい合っていた。

赤族の王子 ライト ローズ 乱咲の第一輪 ネイチャー

・ネイチャー「役者は揃ったようだな。」

・ライト「何しに来た?アマリリス。」

・アマリリス「もちろんお前を殺しにだ。」

殺伐とした空気が漂う。

最初に沈黙を破ったのは、

・アリシア「アマリリス!!!!」

アリシアだった。

アリシアはアマリリスの元に駆け寄る。

・ライト「よせ!!!」

だが時すでに遅し、ライトの注意も虚しく、

グサッ!!!!

アマリリスの大鎌がアリシアを貫いた。

・ライト「アリシア!!!!」

アマリリスは刺さったアリシアを振り払う。

ガッ!

吹き飛ばされたアリシアをライトが受け止めた。

・ライト「アリシア!!アリシア!!」

ライトが呼びかけるがアリシアの返事は無い。

ライトはアリシアの表情をみてアリシアを遠くに移動させてそっと地面に寝かせた。

ライトはアマリリスに飛びかかり火を纏った剣を振りかざした。

ガキンッ!!

アマリリスは大鎌で防ぐ。

シュッ!シュッ!

鋭い植物がアマリリスとライトを襲う。

ネイチャーの攻撃だった。

二人は後ろに飛びその攻撃をかわす。

この瞬間から三つ巴の戦いが始まった。

・アマリリス「ライト。やっと見つけたよ。」

・ライト「全部思い出したようだね。」

・アマリリス「っで、なんで乱咲のリーダーがここに?」

・ネイチャー「あんなに大々的に宣戦布告しておいて何もしないわけがなかろう。俺はお前を止めに来た。それからお前だけではない、ローズ家の悪事もだ。これはどちらも自然の摂理に反する。」

・ライト「悪事?俺は正義の為に目的を果たす。」

・アマリリス「正義だと?」

・ライト「アマリリス、この世界で一番恐れられているものそれが「火」だ。これを世界中が克服することが出来たら生活や技術は一気に100年は進歩するだろう。それだけでは無い世界が豊かになれば争いは減り戦争は無くなるだろう。そして我々ローズ家の一番の夢は王族制度の廃止だ。皆が身分や色に囚われることなく平等になることを願っている。」

・アマリリス「綺麗言はそれで終わりか?なんだ?みんなチヤホヤしてくる王族は飽きましたってか?!!笑わせるなよ!!生活水準を下げて庶民に合わせますってマゾにでも目覚めたか?だいたいその王族の地位も俺らから奪ったもんだもんなぁあああ!!!!」

・アマリリス「火煙かえん

辺り一面に煙が漂いその煙に引火するように火の爆発が起こる。

・ライト「"色相蕾咲しきそうらいしょう"真紅の指揮棒しんくのタクト 炎天渦えんてんか

ライトの周りは炎の渦が巻き起こり攻撃を防いだ。

・ネイチャー「"色相蕾咲しきそうらいしょう"慧眼の鶴嘴ホルス ピカクス 色彩強奪剽窃カラー ドレイン

ネイチャーはアマリリスの爆発を食色植物カラー イーターで吸収した。

・アマリリス「(吸収した?)」

・ネイチャー「色反射リフレクション

ビュンッ!!

光線がアマリリスを襲う。

アマリリスはかわす。

・アマリリス「ならば。」

アマリリスはネイチャーに大鎌で攻撃をしかけた。

ズシャ!!!

ネイチャーは攻撃をかわすが食色植物カラー イーターは切り落とされた。

・アマリリス「物理攻撃なら効くよね。」

・ネイチャー「戦い慣れてるな。」

・ライト「俺を無視するなんて焼けちゃうな!」

ライトがタクトを振ると火の波がアマリリスとネイチャーを襲う。

アマリリスは体に火を纏いライトの攻撃を受けた。

ジュゥー。

火が消える。

・アマリリス「はぁ。鬱陶しいな。」

三人の激しい戦闘により辺りは荒れ地と成り果てていた。


117話 集結

・レーゲン「見えてきた。」

レーゲン率いる青雨国軍ハイドランジアは太陽の祭壇のある孤島を目指していた。

軍艦三隻には100人を超える青軍人が乗っていた。そこにはモルトとタンポポもいた。

・レーゲン「これよりアーリス改めアマリリスの討伐作戦を行う!!アマリリスには多大なる恩がある。この中には先の内戦で一緒に戦った者もたくさんいるだろう。私とて不本意で辛い選択である。だがアマリリスがこれからやろうとしていることを見過ごすことは出来ない。我々は軍人だ!!!!私情も感情も全て捨て去れ!!!作戦を必ず成功させるのだ!!!!」

・青軍人「はっ!!!!!!!!!!」

大きな海に青軍人達の返事が響き渡る。

・青軍人「目前!!謎の飛行物体が近づいて来ます!!」

その正体はフォリア率いる約50名の妖精族であった。

・レーゲン「あれは、白の妖精族か。」

妖精族は戦艦を取り囲んだ。

・フォリア「うちらはアマリリスの味方だ。ここから先は通行止めだ。」

・レーゲン「何故邪魔をする?」

・フォリア「あまり深く考えるな。分かり合える訳では無い。うちらは寿命が長くてな、生に執着がないんだ。ここ100年は子孫を残すこともしておらん。まぁ、死に場所を探していたという訳だ。強いて心残りがあるとすればアマリリスの笑顔を見れなくなったことだな。ならば最後までアマリリスの味方で居てあげたい。これが我々一族の見解だ。」

・レーゲン「そうかならば悪く思うな。撃て。」

青軍人は一斉に射撃を開始した。

カンッ!カンッ!カンッ!キンッ!キンッ!

銃弾が弾かれる音がする。

・フォリア「水仙の羽衣ホワイト アーマー

妖精族達は色技で武装をした。

・モルト「あれは!!アーリス殿と同じ……」

・フォリア「アマリリスにこの色技を教えたのはうちらだからな。」

・フォリア「さぁ、かかってきな。」

同時刻。藤の都。

・向日葵「本当に行くのですね?」

・グラジオラス「うん。アマリリスのあんな過去を知ってほっとけないよ。だけど俺にも世界より大切なものができたんだ。」

・櫻子「グラス!!!」

櫻子は泣きながらグラスに抱きついた。

・グラジオラス「言ったでしょ?櫻子ちゃんの剣になるって。」

グラジオラスは櫻子の頭をポンポンと撫でた。

・グラジオラス「はい。これ。」

櫻子はグラジオラスから手紙を受け取った。

・櫻子「……」

・グラジオラス「行ってくるね。」

・櫻子「気をつけて!!」

グラジオラスは櫻子にニコッと微笑んだ。

・グラジオラス「それにしても君もホントに行くの?」

グラジオラスの話しかけた先には乱咲のセネシオ シルバの姿があった。

・セネシオ「へっ!当たり前だろ!世界滅亡?こんなおもろそうな所見逃す訳ねぇだろ!!」

・向日葵「それではお二人共、飛ばします。」

・向日葵「座標確認。グラジオラスさんよろしくお願いします。陽光道サン ロード

太陽の光が孤島を差した。次の瞬間グラジオラスとセネシオは孤島に転送された。

孤島ではアマリリス達の前に二つの転移色技陣が現れ光だした。

・アマリリス「??」

フヮア。フヮア。

一つ目はグラジオラスとセネシオが現れた。

二つ目はなんとモンブラン チェスナットとセンノ ヴァミリオだった。

そしてそこにアルテミシアとトリカが到着した。


118話 乱戦

・セネシオ「リーダー!!敵は?!!」

・ネイチャー「俺以外だ。」

・セネシオ「分かりやすくていいねぇえ!!!」

セネシオは来るやいなや、一番に動きだした。

・セネシオ「ってことはおまえだなぁあ!!」

セネシオは銀の鎖でライトに攻撃を仕掛ける。

ガキンッ!!

・モンブラン「やらせませんよ。」

それを阻止するようにモンブランが割り込む。

・アマリリス「だから、鬱陶しいなぁ。」

アマリリスの煙が再び爆発。アマリリスはなりふり構わず辺りを爆発させた。

スゥー。

・アマリリス「!!」

グラジオラスがアマリリスの影から出てきてアマリリスを刀で切りつける。

キンッ!!

アマリリスは大鎌で受ける。

・グラジオラス「アーリス。もう分かってるよね?」

・アマリリス「ああ。勝ってにしたらいい。」

・グラジオラス「俺には守るものができたんだ!!」

ガキンッ!

再び刀と大鎌が交わる。

・アルテミシア「グラス!!」

・トリカ「グラスさんもここにやってきましたか。おそらく向日葵姫の色技でしょうね。」

・アルテミシア「もうめちゃくちゃなの。」

そこにセンノがやってきた。

・センノ「お久しぶりです。トリカ様。アルテミシア様。」

・トリカ「センノ。」

・センノ「お二人共、ご無事で何よりです。」

・トリカ「またサポートしてくれるか?」

・センノ「そのつもりでここまできました。トリカ様ならここにおられるだろうと。」

・トリカ「この戦況どう見る?」

ドガンッ!ドガンッ!

ネイチャーの光線がアマリリスとグラジオラス、ライトとモンブランを襲う。

・ライト「モンブラン!大丈夫か?!」

・モンブラン「ええ。何とか、ですが少しかすりました。」

モンブランは腕から血を流している。

・センノ「今は三つ巴の戦いといったところでしょう。ですがここにいる全員がアーリス様を狙っていますね……ならば……」

センノは言いづらそうにしていた。

・トリカ「センノ私は覚悟を持ってここまで来た。」

トリカは強い眼差しでセンノを見た。

・センノ「分かりました。作戦があります。」

・ライト「やっぱり君が厄介だよね!」

ライトはネイチャーに飛び掛る。

・ライト「モンブラン!!!」

ライトがモンブランに合図を送ると、

シュルシュルッ。

モンブランはライト目掛けて武器を投げた。

ライトは武器を受け取りネイチャーを切りつける。

・ライト「黒薔薇の剣くろばらのつるぎ

ズシャッ!!

ネイチャーは辛うじてかわすが少しかすって血を流した。

ライトは追い討ちをかけるように突っ込んでいく。

・ネイチャー「先生の剣術か。」

ネイチャーはライトの攻撃を受け流しながら、

・ネイチャー「正解だ。だが俺が兄弟子だということを忘れるな。」

・ライト「技術は常に進化していくものだよ!」

するとライトの後ろから、

・セネシオ「てめぇー!!無視してんじゃねぇよ!!」

セネシオが襲ってきた。

ズシャッ!!!!!!

ライトは一瞥もせずにセネシオを切り捨てた。

・セネシオ「くっ……」

バタッ。

セネシオは倒れた。

・ライト「俺はもうそこにはいない。」


119話 最後の文

キンッ!キンッ!

アマリリスとグラジオラスの激しい攻防が続く。

そこに花びらの風が吹き荒れる。

・アマリリス「!」

・グラジオラス「!」

・センノ「花びらの風ペタル ウィンド

アマリリスは爆風でその花びらを吹き飛ばす。

グラジオラスは回避するためにトリカの影に移動した。

・グラジオラス「隙を作る。」

グラジオラスはトリカにそれだけ伝えてまたアマリリスに突っ込んでいった。

トリカはセンノの作り出した木葉の纏ギリースーツを着て爆風で起こった土煙に入っていった。

アマリリス、グラジオラス、トリカの辺りの視界は悪かった。

だがトリカにはアマリリスの姿を認識することができた。

センノは先程の花びらの風ペタルウィンド追跡の綿毛トラッキング シードを一緒に混ぜて飛ばしておりアマリリスに付着していたのだった。

・トリカ「アーリスさん。あなたにこれは使いたくなかった。」

トリカは大弓を引いた。

・トリカ「紫猛毒の弓フィアースヴェノム アルコ紫苑しおん

シュパッ!!

・アマリリス「!!」

アマリリスは咄嗟に気付きトリカの放った矢をかわそうとするが、

ガッ。

グラジオラスがアマリリスを羽交い締めにして動きをとめたのだった。

ズシャッ!!

トリカの弓はグラジオラス諸共アマリリスを貫いた。

・アマリリス「ぐふっ……」

アマリリスは膝をついた。

土煙は晴れていく。

ドサッ。

グラジオラスはその場に倒れた。

アルカロイドを克服したトリカの猛毒は勢い良くアマリリスとグラジオラスの身体を蝕んだ。

だがアマリリスはよろよろと立ち上がる。

・アマリリス「はぁはぁ。トリカ。覚えてないか?俺は以前トリカが制御出来なかった、アルカロイドを受けている。つまり抗体があるということだ。」

・トリカ「そんな……」

・アマリリス「犬死にだったな。グラス。」

・グラジオラス「そんなこと…ないよ。全てに……意味はあるんだ……」

そう言いながらグラジオラスは陽光石を最後の力で握り潰した。

フヮア。

陽光石は軽く光って崩れた。

・アマリリス「?」

・グラジオラス「アーリス…君と出会えて本当に良かったよ……櫻子ちゃん……ごめんね……」

キラッ!

すると空が一瞬輝いた。その瞬間、

同時刻。藤の都。

・向日葵「グラジオラスさんからの合図です。」

・向日葵「"色相蕾咲"日輪草の簪にちりんそうのかんざし天照あまてらす

向日葵はグラジオラスの持っていた陽光石を座標にして色技を放った。

ズゴーーーーン!!!!!!!

アマリリスの上空から太陽の光を溜めたレーザーが降ってきた。

ボロッ……

櫻子が大事に持っていたグラジオラスからもらった恋文が崩れ落ちる。


120話 懺悔と告白

シュウー。

アマリリスは咄嗟に火を纏い。自分を守った。

だが強力な向日葵のレーザーは辛うじてアマリリスの身体を残しただけだった。

グラジオラスの姿はなく跡形もなく消え去ってしまった。

ドサッ。

アマリリスは倒れる。

・ネイチャー「あの威力だ。もう息はないだろう。」

突然の出来事に入り乱れていた戦場は沈黙になる。

一つの足音を除いて。

ザッザッ。

足音はアマリリスの元で聞こえなくなった。

足音の正体はアリシアだった。

アリシアはしゃがみこみアマリリスを抱き抱えた。

・アリシア「アマリリス、大丈夫ですわ。」

アリシアがアマリリスに優しく語りかける。

・ライト「アリシア?」

ライトはアリシアの行動に戸惑っていた。

ライトは知っていた。アリシアがアマリリスに大鎌で貫かれた後に自ら治癒を施していたことに。アリシアの傷は治っていた。

・アリシア「フェニックスの尾ファイナルファンタジー

ホワァ。

アマリリスとアリシアは暖かい炎に包まれる。

・アリシア「アマリリスごめんなさい。私はずっと許せなかったのですわ。自分自身を。ローズ家を。全部、全部知っていたのですわ。知っていたにも関わらずアマリリスが記憶を無くしてるのをいい事に。最低ですわね。それでも、それでもアマリリスに振り向いてもらいたくて……私は代わりになりたいと思いましたわ。アマリリスが大切にしていたリコリスの。そんなもの意味無いと分かっておきながら姿も喋り方もリコリスの真似をしましたわ。でも最後くらいアリシアとして接していいよね?」

・アリシア「アマリリス、愛してる。」

ブヮア。

炎は燃え上がった。

アリシアは自らの生命エネルギーを全てアマリリスに注ぎ込んだのだった。

アリシアは力尽きた。

アマリリスは目を覚ました。

アマリリスは立ち上がり。

・アマリリス「ありがとう。アリシア。」

ボワッ。

アマリリスの手のひらに火の塊が浮かび上がる。

・アマリリス「後一つだ。」

アマリリスは不敵に笑った。

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