ティラノホール

白鷺(楓賢)

プロローグ

それは、ある平日の昼下がりだった。いつもと変わらない、幹線道路の光景。車が行き交い、人々はそれぞれの日常を淡々と過ごしていた。しかし、その日常は一瞬で崩れ去った。


突如、道路の中央に巨大な影が現れた。それは、ティラノサウルスの顔。まるで何かの錯覚かと思うほど、非現実的な光景だった。だが、それは紛れもなく現実だった。ティラノサウルスの顔は横一列に並び、10体が揃っていた。口を開け、閉じる。それだけの動作なのに、周囲には恐ろしい緊張感が漂っていた。


そして、最初の犠牲者が現れた。ティラノサウルスの口が開くと、強烈な風が巻き起こり、まるで吸い込まれるようにして一人の男性がその口の中に消えた。叫び声も、助けを求める声も、すぐに消え去り、そこには何の痕跡も残らなかった。


次々と、人々が消え始めた。誰もがこの異常現象に戦慄し、逃げ惑う。だが、その口から逃れる術はなかった。謎の巨大な顔は、じっと道路を塞ぎ、次の犠牲者を待っているようだった。


何が起きているのか。なぜこんなことが起こったのか。誰にも分からない。だが、この謎の現象に挑む者たちがいた。私立探偵、草津と防衛チーム。彼らが、この異常事態の背後に隠された真実に迫ることになるのだった。


静寂が訪れた道路に、再び恐怖の風が吹き荒れようとしていた。

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