大文字伝子が行く301

クライングフリーマン

侵攻

 ===== この物語はあくまでもフィクションです =========

 ============== 主な登場人物 ================

 大文字伝子(だいもんじでんこ)・・・主人公。翻訳家。DDリーダー。EITOではアンバサダー(平和への案内人)または行動隊長と呼ばれている。。

 大文字(高遠)学・・・伝子の、大学翻訳部の3年後輩。伝子の婿養子。小説家。EITOのエーアイ(アナザー・インテリジェンス)と呼ばれている。

 一ノ瀬(橘)なぎさ一等陸佐・・・ある事件をきっかけにEITOに参加。伝子を「おねえさま」と呼んでいる。皆には「一佐」または副隊長と呼ばれている。EITO副隊長。

 久保田(渡辺)あつこ警視・・・ある事件をきっかけにEITOに参加。伝子を「おねえさま」と呼んでいる。皆には「警視」と呼ばれている。EITO副隊長。

 愛宕(白藤)みちる警部補・・・ある事件をきっかけにEITOに参加。伝子を「おねえさま」と呼んでいる。愛宕の妻。EITO副隊長。降格中だったが、再び副隊長になった。現在、産休中だが・・・。


 愛宕寛治警部・・・伝子の中学の書道部の後輩。丸髷警察署の生活安全課刑事。通称『片づけ隊』班長をしている。

 斉藤長一朗理事官・・・EITO司令官。EITO創設者。

 久保田嘉三管理官・・・EITO前司令官。警察とEITOのパイプ役もするが、『交渉人』が必要な場合は、柴田管理官と交替で交渉人も行う。

 久保田誠警部補・・・警視庁警部補。あつこの夫。通称『片づけ隊』を手伝うこともある。

 橋爪警部補・・・愛宕の相棒。丸髷書生活安全課の刑事だが、。通称『片づけ隊』

 を手伝うこともある。

 西部警部補・・・高速エリア署生活安全課の刑事だが、。通称『片づけ隊』

 を手伝うこともある。早乙女愛と結婚した。

 草薙あきら・・・EITOの警察官チーム。特別事務官。ホワイトハッカーの異名を持つ。

 渡伸也一曹・・・空自からのEITO出向。GPSほか自衛隊のシステム担当。

 河野事務官・・・警視庁から出向の事務官。警察、自衛隊、都庁などの連絡も受け持つ。


 結城たまき警部・・・警視庁捜査一課からの出向。

 筒井隆昭警部・・・伝子の大学時代の同級生。警視庁テロ対策室からのEITO出向。EITOガーディアンズ。

 大文字綾子・・・伝子の母。介護士。

 藤井康子・・・伝子のマンションの区切り隣の住人。

 夏目朱美・・・夏目リサーチ副社長。

 窪内真二郎・・・窪内組組長。

 窪内由紀恵・・・窪内の娘。高校教師。生徒からは『親しみ』を込めて、『テキセン』と呼ばれている。


 =================================================

 ==EITOとは、Emergency Information Against Terrorism Organizationを指す==

 ==エマージェンシーガールズとは、女性だけのEITO本部の精鋭部隊である。==



 午前0時。Redにドリフト・アイスの声明が上がった。

[お見合いパーティー第十一回(最後のお見合いパーティー)

 日時:明後日。午前11時。

 場所: ハムカツサンド

 参加者:有限会社ドリフト・アイス有志の男性。

  EITO東京本部の男性及び女性。

 主宰:ドリフト・アイス

 ]

 午前9時半。伝子のマンション。

「そんな場所、あったあ?」

 朝食を食べながら、綾子は素っ頓狂な声を出した。

「サンドと言えば、ダークレインボーの『サンドシンドローム』って幹部がいたけど、まさかねえ。」と、高遠が言った。

「もう随分前の幹部だよ、学。」と、伝子がバターピーナツ苺ジャムをたっぷり塗ったトーストを食べながら言った。

「とにかく、キッカケがないか、草薙さんに調べて貰っているよ。」

「婿殿。なんとかグラムじゃないの?暗号の?」

「それも、これから調べます。」「間に合うの?」

「間に合うの?失礼な!ウチの婿は賢いんだ。知らないのか!」

「あんた、冗談上手くなったわね。EITOで鍛えられた?」

「馬鹿な親に鍛えられたのさ。」「馬鹿とは何よ、馬鹿とは!」

「揉めているのか、仲がいいのか?分からんな。」いつの間にか起動していたマルチディスプレイから、久保田管理官が言った。

「朝っぱらから、すまんな。実は、夏目リサーチ社から連絡が入った。至急来て欲しい、とEITO隊長へのご指名だ。」

「売れっ子は辛いな。すぐ用意します。ん?なんで久保田さんが?」

「今、EITO本部は停電中だ。台風の影響で、送電所のどこかでおかしくなったらしい。従って、迎えは、本部からじゃない。」

「妙だな。」

 高遠のカンは当たっていた。

 15分後。

 チャイムが鳴った。

 高遠が出ると、夏目警視正と、黒いスーツの男が立っていた。

「行こうか。」促されて、伝子はバッグを持って出て行った。

 5分後。区切り隣の藤井が飛んできた。いや、とんできた。

 隠れていた綾子が出てきた。

 高遠がEITO用のPCを起動し、事情を説明した。

「夏目君は、身内の不幸があった、と連絡してきて欠席していたが・・・ん?久保田君も様子がおかしかった?」

「高遠。誘拐だな。警視と結城に連絡を取って、警視庁に様子を見に行くよ。あっちも、ジャックされている可能性があるな。」と、筒井が横から顔を出した。昨夜は当直だったのだ。

「そんな簡単にジャック出来ます?」「スパイがいればな。新里・・・カミさんも危ないな。」

 筒井は、画面から消えた。

「藤井さん、録画はされていますね?」と、渡が言った。

「はい。勿論。久保田さんとの通信も、夏目さんの連れの男も。」藤井は応えた。

「流石、特別隊員だ。高遠さん。追跡用のグッズは?」

「DDバッジ、追跡用ガラケー、パルスオキシメータ、セカンドバッグも入れていますから、コンパクト通信機、それと、イヤリング。」と高遠が応えた。

 イヤリングは、エマージェンシーガールズの時も普段着でも身に着けている。イヤリングからの一方的な『盗聴器』だ。

 コンパクト通信機は、DDバッジと同じ役目を果たす。

 コンティニューも知らないグッズもあるので、見失ったり、通信傍受不能になったりはしないだろう。

 午前10時半。夏目の車の中。

「本部と通信不能なんて、火事になった時以来ですね。」

「そうだな。あの時は大変だったな。」夏目はその時、副司令官ではなかった。

「どこへ?」「夏目リサーチだ。大文字君は初めてだったな。ウチのワイフも。」

 夏目リサーチは、ダミー会社で、NPO法人として発足したが、今は社団法人で、初代社長は夏目警視正だったが、EITOに専念する為、また秘密保持の為に、夏目は社長を妻の優香と妹の朱美に任せている。

 詰まり、朱美が人質に取られている、ということだ。久保田管理官も様子がおかしかったから、誰か人質に取られているのかも知れない。

 ドリフト・アイスは、いよいよ最終決戦の為に大掛かりな作戦を侵攻して来たか。

 しかし、何故夏目リサーチが?そうか。夏目リサーチにも、警視庁にもスパイがいるということか。

 午前11時半。渋谷区千駄ヶ谷。

 オフィス街の一角のビルの2階に夏目リサーチがあった。

 案の定、現れた男達に、人質の部屋に入れられた、夏目と伝子。

 荷物を取られそうになり、ちょっと、デリカシーがないわね。生理用品やメイクグッズまで取り上げる積もり?トイレも行かせないの?」と、伝子は声を上げて言った。

 暴れる振りをして、伝子はブーツの中の追跡用ガラケーを作動させた。

 男は、コンパクトとファンデーションとポケットティッシュと生理用品だけをポーチに入れ、バッグを回収した。

「あ、案外紳士なのね。」と、伝子が言うと、男はふふんと笑って部屋を出て施錠をした。

「状況は?」と、夏目は妹の朱美に尋ねた。

「バイト君が、急に『コロニー』にかかったって電話してきたの。3日前にね。」

 コロニーは収束後、かかったかも知れない場合は、病院でCT検査することになっているが、『本人判断』で仕事を3日間休んでいい、という法律になっている。

「それで、替わりのバイトだって言う子が、同じ大学の学生証を持って現れたの。取り敢えず、スーパーの商圏調べのバイトに派遣して、カウンター持たせたの。簡単な仕事だから、すぐに覚えたわ。」

「それで、スパイになり、男達を手引きしたか。朱美。今度からは、欠員が出たら、すぐに交替刺せない方がいいな。それと、簡単な試験をするといい。都道府県の自治体名とかな。『京都府』とか『大阪府』は、『京都県』『大阪県』と間違うそうだ。日本人しか使わない漢字のテストもいい。話し言葉では分からないが、書いてみるとはっきりする。後は、そうだな。『以下』と『未満』の違いとかな。」

「夏目さん。『業務連絡』の間に、皆の拘束を解いたわ。」と言いながら、夏目の拘束も解いた。

 伝子は、合気道で習った『縄抜け』で、簡単にロープの拘束を解いていた。

 結束バンドだと上手くいかないが、夏目リサーチか、奴らの備品に、通常のロープしかなかったのだろう。

 正午。渋谷区。スクランブル高校。

 待望の『給食』の時間だ。最近は、授業料負担、給食費負担が高校まで及んでいた。

 御池都知事の方針だ。

 由紀恵のクラスだけ、生徒達は猛烈な下痢に襲われた。

 まだ、食べていなかった、由紀恵は、校長に報告、救急車で生徒達は運ばれたが、よく見ると、一部の生徒だけだった。

 学校側は保健所に相談、すぐに学級閉鎖、学校閉鎖になった。そして、下痢をしなかった生徒は家庭で『経過観察』することになった。

 電話で娘から話を聞いた窪内は、不審に思った。

 久保田管理官に電話したが、繋がらなかった。窪内は、更に不審に思い、遠山と小堺に電話した。

 ―完―


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

大文字伝子が行く301 クライングフリーマン @dansan01

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ