第15回空色杯【500文字未満の部】

かみひとえ

The end of summer in the gray city encircling the sky and me...

 曇天というには少し明るく、晴天というには少し雲が多くて。


 無機質な高層ビルに切り取られた無惨な空の色を見上げる夏終わり。この陰鬱とした気分は晴れない。


 残暑というには少し涼しく、秋の入りというにはまだカーディガンを羽織るほどでもない。


 夏休みが終わると全ての景色が褪せてしまったような気がした。


 あんなにもギラギラとしていた色は一体どこに行ってしまったのだろう。あの容赦ない暑さを危惧していたコメンテーターは、今ではすっかり予測不能な台風の動きばかりを叫んでいた。


 無感情な人の波にもまれて目的を見失って、誰の目にも留まらずに流されてふっと消えていく。そんな虚しい想像ばかりしてしまう。ああ、心までこんなふうに濁ってしまいたくなかったのに。


 そういえば、どうして空を見上げたんだっけ。


 昔は良かった、昔はこんなんじゃなかった。そう思いたかっただけじゃないのか。


 絶望というには少し眩しく、希望というには少し頼りない。


 こんな色の空でもちょっとはなんとかしてくれるんだな。そう思うと自身の手軽さになんだか笑えてきた。


 仕方ない、明日も頑張るか。


 もう一度見上げた空からは、雲を通してやわらかくなった日差しが降り注いでいた。

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