妄想

@rarara0502

妄想

僕の名前はM。高校生だ。僕には好きな人がいた。同じ高校に通っているXだ。僕はXのことが好きで好きでたまらなかった。四六時中その子のことを考えていた。悩んでいても仕方がないので今度、体育祭の日に告白することにした。運動が得意な僕には絶好のアピールチャンスだ。

そして体育祭当日。僕が出場するリレーで大活躍。これでアピールもバッチリだ。放課後、僕はXを呼び出した。いざ呼び出してみると緊張した。緊張しすぎて自分が誰かもわからなかった。気付くと目の前に自分がいた。最初は緊張のしすぎで幻覚が見えているのかと思った。でも何度見返してもそこには自分がいた。僕は自分に声をかけた。すると聴き慣れた声がした。Xの声だ。びっくりして自分の体を見た。Xの体だ。驚いて言葉が出なかった。僕が困惑していると

「M君?」

と言う声が聞こえた。自分の声だ。慌てて僕も聞き返した。

「もしかしてX?」

「うん」

「やばいね」

「でもこれはこれで面白いね」

これを聞いた時、自分は思ってしまった。そして、自分が気付いた時にはすでに返事をしてしまっていた。

「確かに。」

と。

そのままXとして過ごし、七十年がたった。軽はずみな気持ちで返事をした事を今でも後悔している。もう自分が誰かもわからない。その時ワシはハッとした。

「この感覚、七十年前と同じだ!」

こうしてX(M)はM(X)を探すため病室から消えていった。

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