後宮の幽鬼妃〜皇帝を暗殺するために後宮へ潜入したら、寵妃になっておりまして

白鳥ましろ(元白鳥座の司書)

序章 始まりは清らかな川辺で

プロローグ

 

――ねぇ、どうして貴方は私の為にそこまでしてくれるの?


「傷ついた小鳥は、檻の外では生きられない。花は手入れをしなければ、いずれ枯れてしまう。きっと君もそうなのだろう?」 


――私は鳥でも、花でもないわよ。


「その通りだな。俺は君を守りたいのではなく、ただ手放したくないだけなのかもしれない」

 

 私が後宮に来た目的も知らないで。

 そんな言葉ばかり貴方は言う。

 甘い言葉を並べて、私を鳥籠後宮の中に留めようとする。



 

 私にとって、貴方は復讐の対象なのに。

 貴方に捧げる感情は『愛』ではなく『憎悪』なのに。


 それなのに――どうして胸が苦しいの?

 このモヤモヤとした感情は何?


 

 

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