第2話トラック野郎
こんばんは。DJハヅルのオールライト・ニッポンです。
今夜はトラック野郎の一番星光さんをお呼びしました。
「一番星さん、こんばんは」
「こんばんは」
「トラック野郎と言う事ですが、主に……」
「その、トラック野郎と言うのを辞めてくれよ!」
「え、何とお呼びしたら?」
「トラック運転手で良いよ」
「では、トラック運転手の一番星さんは何トンのトラックを運転してるんですか?」
「オレ達、トラック野郎は軽トラを運転してるんだ」
「あ、あの、トラック野郎と言うのは嫌では……」
「自分が使う分には良いんだ。他人にトラック野郎と言われるのが嫌でね」
「では、トラック運転手の一番星さんは何を運んでいらっしゃるんですか?」
「粉!粉だよ」
「粉とは?」
「分からんが、粉なんだよ。詳しく聴くとサーベルで刺されたからな、左足を」
「さ、サーベルで?」
「うん、今でも動かないんだ」
「でも、軽トラはミッション車ですよね?」
「今は、オートマチックの軽トラもあるんだ」
「その粉をどこから、どこまで運ぶんですか?」
「博多から青森までだね。途中、荷下ろししながら」
「一番星さん、白い粉とは犯罪の匂いがしますが」
「警察に止められてね、調べたら片栗粉だったんだ」
「でも、サーベルで刺されたんですよね?」
「あれは、オレの間違いだった。ある組織の倉庫で刺されたんだ」
「では、長距離運転されると眠たくなるんじゃ?」
「眠たくなるね」
「では、どうやって眠気を覚ましているんですか?」
「寝るよ!寝る」
「寝るとは、パーキングエリアでですか?」
「いや、路肩で」
「大丈夫ですか?」
「大丈夫だよ。今まで事故したこと3回しか
無いし、警察のお世話に4回しかなっていない」
「では、一番星さんの未来とは」
「早く誰かに代わってもらいたいね」
「体力的に……って事ですか?」
「うん。もう、今年で90だから」
「90歳ですか?」
「あぁ〜そうだよ。目もかすみ、反射神経も鈍ってね。この前、追突しちゃった」
「はい、一番星さん、ありがとうございました」
「はいはい、どーも」
今夜は軽トラ運転手の一番星光さんでした。
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