第二章 卑怯者と嘘つきの共通点

重大な欠点

 翌朝、七月十日の土曜日。


 きょうは遙香さん主催の会合が、午前十一時にカフェレストラン「カレス」で開かれることになっている。

 会合に参加するのは主催者の遙香さんに加え、我が恋愛反対運動のメンバー四名で、計五名だ。


 なぜこういった会合を開くことになったのかというと、それはきのうの夕方にまで遡る。


 あのとき――星空公園での駆け引きが終わったあと、ぼくらはそのままベンチに居残り、話し合いを続けることにした。

 話し合いを続けていくうちに、今回の問題には徹たちの協力が必要不可欠だということに気付き、ぼくらは頭を抱えて悩んだ。

 悩んだ末、ぼくらは徹たちにすべてを打ち明け、協力を申し出るという結論に達した。


 幸いにも、遙香さんが徹たちに(会合の内容も含めて)連絡をしてくれるというので、ぼくはそれに甘え、あすに備えたのだが……当日になって、ぼくは重大な欠点があることに気付いた。

 その欠点というのが、ぼくらの家族にも事情を説明しておかなければ、いずれ夏奈さんにもウソがばれてしまう、というものだ。


 欠点に気付いたぼくは、すぐさま遙香さんのスマートフォンに電話をかけた。

 最初、遙香さんは寝ぼけていたらしく、ぼくの指摘を一蹴した挙句、電話を切ろうとしたが、すぐに思いとどまってくれた。


「だったら、お互いの家族に事情を話しましょう。もしも支持を得られなかった場合は……」

「場合は?」

「翔くんを含めて、大浦家は皆殺しよ」


 物騒な言葉のあと、電話は切られた。


 しばらくのあいだ、ぼくは唐突の一家殺害予告におびえ、ベッドでブルブル震えていた。

 けれど、やることはやらなくては、と自分を鼓舞し、なんとかベッドから起き上がった。


 こうしてぼくは朝食の時、家族に事情を説明することにした。

 そして今、運命の朝食が訪れる。

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