09 余燼は…いずれまた大火となる
「…ユティはともかく、マキナ。お前は全自動工廠で船の点検をしなくてもいいのか?」
マキナは一瞬だけポカンと口を開けた後、熱弁を振るい始めた。
「船…いやいや主殿。第零号主力戦艦『
「全部…初耳なんだが。とりあえずその涎を拭いてくれ。」
「ねえ、ともかくって何さ!私だって、裏方で頑張ってるんだよって、そこじゃないよ!!何かあっさりし過ぎてない!?もっとこう…さ?ハンカチ創ったから使っていいよ♪」
「…よし!!これでスッキリぃであります。感謝するでありまぁすよユティ姉。それはそうと、宣言とかはして欲しいでありますよね!!!」
「マキナちゃんっ…うんうんそうだよね!!…ラスットには分からないのかなぁ?このロマンが…私は悲しいよ。」
「誰目線なんだそれは…はぁ。」
そんな期待の眼差しを向けられても…ここでやらなければ後々の士気に影響するかもしれないと考えたら…全く。本当にしょうがない奴らだ。さっさと済ませよう。
「…今後は帝国から『カト帝国』と名を改めるが先の宣戦布告の通り、人類を虐げ、神々や悪魔をこの世界…この大陸中から根絶やしにする事には何ら変わりはない。ここからは誰にも理解されない修羅の道を進む事になるだろう。だが案ずる事はない。俺について来さえすれば、必ず道は開かれ、革命は成し遂げられる!!!」
「あぁ主殿…!!この身が朽ち果てようとも、一生ついて行くであります!!!」
マキナは涙を堪えながら決意に燃えていて、女神はいつの間にか俺に向けていた黒い物体を降ろしていた。
「その黒い物体は何だ?」
「マイクだけど。いやぁ。うん…名演説だったよラスット♪」
その直後、城壁が激しく砕け散る音が聞こえて…思わず黒色の玉座から立ち上がった。
「ピキーン!…あっ、主殿!!雷を纏った神が…単身でカト帝国に侵入したでありまぁす!!」
「っ、増援の気配はあるか!!」
マキナは両眼を閉じて…すぐに眼を開けた。
「吾輩の『エモーション・ソナー』でも確認したでありまぁすが、潜伏もなしであります!!!」
「っ、船…『八重桜』を遠隔起動させてすぐに全自動工廠から発進させろ。絶対に奴をこの城に近づけるな!!」
「り、了解であります!!」
神の侵攻…予想よりもはるかに早い!!冷静になれ。まさか女神が内偵で…否。この能天気馬鹿が務まる役職じゃないな。だからこれは俺が予想出来なかったイレギュラーのケース…まだ単身でやって来てるだけマシと捉えて、今はどう撃退するかを思考するべきだ。
マキナが駆け出している傍らで、女神は呑気に呟いた。
「ラストの華麗な演説を聞いて…今頃『天界』の皆もその気迫に怖気付いてるだろうなぁ。」
「…っ!?」
この女神。俺の知らない所で何かしていたらしい…が、その詳細を聞く時間はないか!
「あの子、『雷神』で
俺が女神のフリをしていた時に玉座にいて…すぐに追い出されていた奴か。カト帝国の構想を練っている時に、どう手中に収めようかと悩んでいたが…まさかそちらから、のこのことやって来るとはな。
「ふ、ハハッ…」
「ラスット?」
第一優先捕獲目標が相手なら、たとえこちらの犠牲や損害が大きくなっても…膨大なおつりが出るんだ。俺が今、持ち得る全戦力で相手してやろう。
「俺は地下の棺に安置しているデウスに指示を出しに行く…ユティは苦戦しているマキナのフォローをして来い。」
「ええー!!私も戦うのぉ〜…って、あーあ…行っちゃった……もうっ、しょうがないにゃあ。」
——私がいないとほんと、ダメなんだから。
玉座の後ろにある地下へと続く階段を降りていく音が聞こえなくなってから、2本の剣を創造して、マキナちゃんの援護に向かうべく玉座を後にした。
《第一章 始まりのカト帝国編 完》
Next…《第二章 侵略のカト帝国編に続く》
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