勇者達の翌朝・新書(前編)

L・ラズライト

0. 融合の終わり

暗いのか明るいのか、秩序なのか混沌なのかわからなかった。


「こうして、さし向かいだと、おかしな気分だけど」


ホプラスは微笑んでいた。


「貴方には、きちんとお礼を言いたかった。」


俺は驚いた。お礼どころか、彼の若すぎる死の原因は、俺にあると言ってもいい。恨まれこそすれ、礼なんて。


「俺と一緒に、できるかぎり、ルーミの側にいてくれたでしょう。彼が寂しくないように。」


「こら、子供扱いするなよ」


別の気配が、俺たちの側にあった。ああ、ルーミだ。


「でも、俺からも言わせてもらうよ。ありがとう。ホプラスだけだったら、あんなにうまくはやってのけられなかった。」


二人は、少し笑った。笑う気配を感じとった。


笑い声は二人ではなかった。ディニィ、エスカー、キーリ。二人にとって、そして俺にとっても大切な仲間たち。


だが、そこには三人足りなかった。ラール、ユッシ、サヤン。彼等の気配だけはない。


「彼等はまだ、その時じゃないんです。」


エスカーが少し残念そうに言った。ああ、そういうことか。


「名残りおしいけど、そろそろ行かないと、行けません。あなたは、やっぱり、一緒にいけないのですね?」


ディニィの柔らかな気配が俺に触れた。そのとおりだった。俺は、お前達と同じところにはいけない。


「寂しいけど、仕方ないですね。僕達と違い、貴方には、まだ役割がある。」


静かなキーリの声が、頭に響いた。彼等の気配が遠ざかる。


「あの人達をよろしく」


「あの子達を頼みます」


「ありがとう」


「いつか、また…」


俺は彼等を引き留めたのだろうか。遠い光の中に吸い込まれる気配。


闇が広がる、それも一瞬、


「やった、成功よ」


かんだかい連絡者の声と共に、俺は光の中にいた。


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