鬱屈系優等生に、犬と呼ばれる青春

加藤よしき

第1話 プロローグ

〇シーン1

・概要:ヒロインの涼香がクラス委員長、

    主人公(リスナー)が副委員長に選ばれるシーンです。

    教壇の上に立って挨拶をします。


※効果音:教室の中で生徒らが賑やか(楽しそうに)ザワザワと騒ぐ音


 柏木 涼香「はい。すみませんが、少し静かにしてください」


※効果音:教室の中のザワザワとした音が消える


 柏木 涼香「……ありがとうございます。本日、たった今、この3年B組の学級委員長に選ばれました、柏木 涼香(かしわぎ りょうか)です」


 柏木 涼香「まず私に投票しなかった皆さんに。不本意な結果になったとは思いますが、皆さんの期待にも応えられるように努力すると約束します。どうか、よろしくお願いします。そして投票してくれた人、ありがとございました。今回の進級で、はじめて同じクラスになった人も多いと思うので、一応、改めて自己紹介もしますね。私の名前は、柏木 涼香。部活動はしていません。趣味は読書で、運動は得意ではありません。それと、実は……人前で喋るのも上手ではないですし、こうした役職を任されるのも初めてです。ですが、選んでもらったからには、皆さんの期待に応えられるように、副委員長に選ばれた、こちらの彼と一緒に、一生懸命がんばります。高校3年生の最後の1年間、どうかよろしくお願いします」


※効果音:教室の中の生徒らの拍手と歓声

※効果音:↑拍手と歓声が鳴ったままフェードアウト


〇シーン2

・概要:授業が終わって、クラスメイトたちが帰り始めています。

    主人公(リスナー)のところに、ヒロインがやってきて、

    会話が始まります。


※効果音:(2~3秒の間を開けて)「キンコンカンコーン」的なチャイムの音

※効果音:生徒らが教室を出て帰宅を始める音


 柏木 涼香「副委員長さん、お疲れ様」


※演出指示:少し間をおいて(主人公が反応できていない体で)


 柏木 涼香「あのですね……副委員長って、あなたのことですよ? 堅苦しいと思っても、そう呼ばれることに慣れておかないと。これから一年間、私は委員長で、あなたは副委員長なんです。ま、少し不思議な気がするのは、分かりますけどね。私とあなたが選ばれるなんて。開票が進むにつれて、ちょっと考えてしまいましたもん。もしかして……クラスのみんなは、私たちのこと……あのことを、すべて知っているんじゃないかって」


※演出指示:以下のセリフはリスナーが慌てている様子を受けて


 柏木 涼香「ふふっ、そう慌てないでください。私とあなたが選ばれたのは、本当に単なる偶然だと思いますよ。誰にもアレはバレていません。きっと、ですけどね」


 柏木 涼香「ま、仮にバレていても、やめる気はありませんから」


 柏木 涼香「あなたと離れ離れになるまで、私が東京に出るまで、あと一年なんです。ここに……九州にいるあいだは、ずっと続けるつもりです。あなたがどうなろうと知りませんが、私は私のために、やりたいんです」


 柏木 涼香「だから……ほら、耳を貸してください」


※以下のセリフは耳もとで囁くように


 柏木 涼香「いつも通り図書室の倉庫で、待っとるけん。今日も付き合ってもらうわ。断らんやろ? だってあんたは、私の犬くんやん? 今日もいっぱい甘やかしちゃるけんね♪」


※次のセリフは通常通り


 柏木 涼香「それじゃ、またすぐ会いましょう。そして……これから一年間、改めてよろしくお願いしますね。副委員長さん♪」

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