第二話 ④

「奴等の施設の場所を特定した。直ちに制圧し、責任者、博士の身柄を直ちに拘束、生徒や被験者、実験体は特別収容しろ。警備員らしき存在は皆殺しで良い」 


「ですが、奴らの実験体の中では我々に襲ってくる者もいると考えますが…」


「麻酔銃だ、特別収容部隊は全員使え!収容所へ持っていくためだ」


「地下施設ですから突入方法はどうします?」


「荒手で豪快だが正面からの強行突破で行う」


「逃げられる可能性もありますが…」


「施設的に逃げれないようになってある、他の部隊にも伝えとけ。中心部に向かって挟み撃ちで追い込むとなぁ」 


「ハハハ、そんな豪快な事やったってまた逃げられるだけですよ」


「いいか、今回の突入は研究所内部からの通報でこの場所、ここの位置がわかった。つまり何者かが裏切ったということになる。被験者、実験体となっている児童達は皆、家族から通報を受けている。救うチャンスだ、全ては未来に生きる子供たちのためだぞ」


 警察本部にて、作戦計画、作戦会議、など極秘で行われていた。位の高そうな人が次へと次へと指示を出してゆき、それにともなって部下や同僚が素早く走り回る警視庁の一角だった。


「お疲れ様です警部さん、朝から大変ですね」


「えぇ行方不明者の発見と謎組織の潜入など一石二鳥ですわな」


「でも何処から通報来たんです?奴らの場所は不明だって……」


「実はですね、内部の誰かが場所と位置について教えてくれたもんで今、突入など特別隊を作っている訳ですよ」


「へぇー、で貴方は何処へ?」


「私は実行するための許可を上層部に突き付けます。なんせこの事件に関係あることは特別に上の許可が必要だと言う変なもんですからね」


「上層部?そんなところに行っても意味ないよ、貴方の作戦は全て拒否されるからね、許可なんて取らずに行きなさいよ!」


「ですがね……」


「給料日近いからってそんな恐がる心配無いですよ、さぁ行ってください!」


「うぬ、決行は突撃で向かう。で宜しいかな?」


「貴方の下動いていますから、お気になさらず」

「頑張ってくださいね、結構怖いですからね」

会議室から離れ、エレベーターを使い向かった。

「失礼します。警部の〇〇と申します。今回、あの集団失踪事件と関係ある研究所の本部を特定し、これから突入しようという計画でして許可が欲しいのです」


「集団失踪事件?あの都内の学校の事かい?」


「いかにもそうでございます。ほぼ全員の身柄が確認出来ているんです。奴等の施設は地下にありまして何やら彼らは人体実験させられていると通報を受けました。」


「地下なのに?限られた場所でしか繋がらないと聞いておるぞ」


「その通報者が謎なのです。関係者か生徒なのか不明なんです」


「残念だが……私はその突入を許可することは出来ない」


「何故ですか?保護者や被害者遺族は一刻も帰らせることができるのですよ」


「この計画は国の極秘となっておる。その研究所も国の一番の物だ。わかってくれ」


「いいえ、もうこの事件を迷宮入りすることは出来ません。何としてでも解決しなければ行けないのです。」

「だがな、未来を変えるには必要なんだ。」


「こんなの不正ではありませんか、国民を騙してまでやることですか」


「私もそう思った。もうデータは残っている、あとは裁判で摘発するだけまでのところにいるんだ。」

「では……許可をお願いします」


「もし仮に許可を出したとして……この事件にやって来るマスコミの奴らはどうする?国家機密をばら蒔くのか?」


「完全極秘、又は黙秘で行いましょう。」


「国を相手にする気か?無謀だな」


「救出したあとの生徒たちはどうしましょうか?」


「正常な人間なんて居ないだろ、全員処分だ。保護者にも研究員の事は伏せて死亡したと伝えれば良い」


「具体的に国家というのは?」


「農林水産省だ、自然界は全てあのところだ」

「……この事は誰にも話してはいけないですね」


「そうだ、絶対に知られてはいけないんだ。」


「許可を出したら貴方はその役職から外されたりと思うんですが」


「その心配は要らないよ、もう少しでここの仕事から引退するからね、次は君達の時代だよ」


「そうなんですか……では許可をお願いします」


「うむ、これより集団失踪事件に関する研究所の突入を許可します。ついでにこれを……」


渡されたのはUSBケーブルだった。


「この中に省の研究のデータが入っている。絶対に渡すのではないぞ」


「この中のものは裁判などで使えますか?」


「あぁ多額の賠償金、慰謝料を手にするだろう。」


「いろいろとありがとうございました。

 では失礼します……」


手を振りながら見届ける。ドアの閉まった音がした時に窓を見て空を眺める


「こちらーーーだ、先程の話はよく聞いていた。どうゆうことだ?」


「貴女方が行ったことは極秘だとしても機密だとしてもやっていることは犯罪です。私はこれまで見てみぬふりをしてきましたがもう完結するんです。今日で終わらせましょう!」 


「このことは研究所にも知らせておくぞ、今すぐに!」


「やれるだったらですね、何度でも貴方達を探してみせますよ、逃げるって行ったって日本は狭いですからね」


「我々がお前も関係者だと伝えるぞ、そしたらマスコミはどうなるかね?」


「極秘で行っているとお気付きではないのか?この事が国民にバレれば国家もそうだが大変なことになるということを」


「クソが!」


「ここに貴方達の活動データも私達は持っています。どう足掻いたって貴方方はおしまいです」


「ぬぬぬ……!良いだろう、研究所に警備員を多く派遣させ、逃げるよう促せば良いだけだ。そうすれば肝心な証拠や手掛りは何も起こらない……無実になるのだ」


「それでも国を任された政治家か!お前みたいな奴は大臣ではない!そんなんだったら日本という国は終わりだぞ!」


「もうこの国は終わってるんだよ、外交も物流も環境も自然も全てだ!」


「君はそれを変える仕事だろう、何を言ってるんだ!」


「それで俺を逮捕するというのか?」


「そうだ、逮捕して冷たい牢獄へ連れてやる」

「そうかい、やれるんだったらな」


電話を切り、部下を呼んで緊急の命令を下した。


「間に合えば良いんだが……頑張ってくれ!」


「我々は増員要請だ!私は国外へ逃げるぞ、今すぐに手配してくれ!」


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