THEY

@-Rivers-OIKAWA

第一話 ①


 広場にて大勢の前で指名された数人が収容カプセルに足を踏み入れられる。次の瞬間、謎の液体がカプセル内に注入され、被験者は落ち着いた雰囲気で前を見ているが段々と身体の様子がおかしくなる。

「おいおい、大丈夫かよ」

「何やってるんだよ、可愛そうだよ」

 心配や不安ぶる人々がザワザワと場を占めた。


「博士…?これは…どうゆうことです」

「ついに、ついにだ!私の研究はあともう少しで完成するんだ。」


 彼女達は、人それぞれ人間では無くなっていき、人間の耳とは別にふさふさな耳が出てきたり、尻尾が生えたり鋭い歯、爪など徐々に変化していく。

「研究は…あともう少しだ!」

「人を狼とさせるのですか?これはまるで人狼ではないですか!」

「これこそが私の目的だ。優秀な人を獣へと変貌させるんだ。それで新たな人間の進化になる。完璧で最強のヒトを作ることなんだ」

 彼女らの変化を見た皆はとても驚き、動揺を隠せなかった。

「このように皆なることが出来るのです。先ほどの皆さんに行った実験で、何か異変を感じた人はこの後集まってください。又は変化した人は早急に私達に伝えてください。それでは解散です……」

 クラスの数人が役員の人達に向かい、彼らは僕らと違う部屋へ研究員に誘導されて収容されていくところを見届ける。

「一体僕は何なのか……?」

 大型のホームセンターのような広く、高い空間では一人一つずつの個別部屋が用意され、その部屋に繋がる廊下を主人公含む三人は歩き続けた。

「僕はこんな施設抜け出して絶対に逃げてやる!」

「……」

「……なぁあんた、あれは一体何だったんだ?人じゃない獣みたいな容姿に変わってしまったようだけど……」


「僕にも分からない。あのカプセルに入ったのは全員女子だけ、男子には何も変化はなかったんだぞ」


「博士は狼?とか言ってたけど俺らもあんな感じになるのか?」


「知らないよ」


「まぁ俺らは仲良く行けば何も起こりそうにない」


「そうさ、僕はあんな獣なんてなりたくないよ」


 廊下の蛍光灯は段々と明るくなっていき、白色からオレンジ色の光へと変わった。


「でさ、話変わるけど……明日の予定わかる?」 


「明日は確か、IQテスト、身体審査、実験……だけだと思う」


 一気に蛍光灯の光が変わり、サイレンも鳴りだした。

「この色の光!?オレンジってことは警告直ぐに部屋へ入れっていう?緊急時での知らせじゃない?」


「じゃ、じゃあな…また明日!」


「あぁ、また明日な」


 二人は危機感を感じ、直ぐに自分の部屋へと走り去っていく。二人が部屋に入るとすぐに扉がロックされてびくともしないほど動かない。廊下ではシューという音を立てながらガスの煙が立ち込め、そこへ見回りの警備員が銃を構えながら廊下を歩く。何やら生徒達には見られてはいけない何かを隠しているようだ。しばらく時間が経った時、異変が起こる。


「なんなんだ!この…汗。怯えてるのかよ……」

 主人公の額からは冷や汗がにじみ出てきて、一滴一滴床に垂れるところを見る。


「……!?、緊張のような怖いような…恐怖なのか」


 頭の中は何かが伝わったような恐怖感に襲われ、変な感覚が手のひらに伝わるが何も変化は感じない。


「仲間……?の感覚なのか、でも一体……」


 とある研究室での一角、研究員と博士らは


「投薬を……直ちに...!!押さえ込むんだ!」

 

「防衛反応!?能力が発動させないために急げ」

「嫌だ、嫌だよ……いやだ!」


「静かにしろ、私に掛かればすぐに終わる」


「嫌だ!嫌だ………」


「静かにしてろ!」


「!!……」

「やっと大人しくなったか、続けるぞ……」 


 研究員による謎の薬の投薬、注入、彼女は眠らされてしまった。


「成功した、彼女は特別保安室へ連れて行け…」


 耳鳴りのような高い女子の声と博士?のダイレクトに声が響く。


「こんな経験、何回目だよ……頭が痛いなぁ」

 この変な現象は、ここ最近増えてきていて主人公だけに起こる。   

 冷たい風が鉄格子の窓から吹き抜ける、雲がかった月光が部屋を照らし、主人公は一人部屋のベッドに座り込み頭を悩ませる。


「最近はおかしなことしか起きない日々だ。ペアを作って変な事をしてすぐに集まれって言われたら彼女らが獣化していた……しかもその子、俺と組んだ人じゃないかよ……どうすればいいんだ?」


 外の鉄格子を眺めながら立ち上がる。


「僕らは何のために存在して、何のためにここにいる……!?」


 不思議な疑問を抱えながら窓に向かう。部屋の机には処方箋の袋が積まれていてまだ開けたことない新品のようだった。


「何故だか、月を見ると吠えたくなるのは……僕だけか?」


 誰に問いかけても答えは返ってこない寂しさに覆われた。何もない事を考えながら眠りへと着いた。一方で、全て終えた助手と博士は長い廊下を渡る。


「彼女らが反応したのには何か訳でも?」


「あの子達は優秀な子達だ。我々に貢献、支援してくれるはずだよ」


「ですが先程、能力発動を阻止しましたよね?」


「あの子は……我々でも止められないほどの


「想い」が宿っていたよ」


「想い?ですか?」


「誰に向けてのことか分からないけどね、だけど彼女は獣に接種させたが接種後の本能、精神、心はヒト100%だったんだ。興味のある子だよ」


「ですが……本能としてはヒトではなく…」


「そうゆうことだ。君も理解してくれ」


「博士……彼女をどうする気ですか?」


「それに関してはここでは話せない、この後私の部屋に来なさい。」

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