第6話 いつもよりちょっと元気かも
『ドン!!』
…ぱちっ
目が覚めた。なんだかいつもより目覚めがいい気がする。1時間しか寝てないのに。なんでだろう。数ヶ月ぶりの心地よい朝だ。
ちなみにさっきの『ドン!!』は妹だ。朝起きるのが弱くて前まで母親が部屋に入ってきて起こしてくれてたんだけど…、母も面倒くさくなったのか隣の部屋である妹に部屋を出るついでに俺を起こせって頼まれたらしい。
妹もそんなことする義理はないが母に頼まれたので、部屋に入る…まではしないがドアを思い切り蹴って、その音で俺を起こしてくれる。
別にいいんだけどね。しっかり起こしてくれてるし。でもさ何かあるじゃん。ノックとかさ『朝だよーお兄ちゃん』ってベッドの横で起こしてくれたりさ。おかげで段々ドアが凹んできた。
―――――
「はよー」
母『あっおはよ、今日降りてくんの早いじゃん。』
「えっそう?」
父はもう行ったんだろうか。妹はもう学校に行く準備をしている。
「あれ、もう行くん。早いね。」
妹『いや朝練あるから。てかいつもこんなだよ。兄貴が遅いだけ。』
「あっ、そう…」
相変わらず辛口な妹。今時の中学生ってこんなもんなのかな。もしかしてウチだけ?
……あれそういえば朝喋るの久しぶりだな。いつも下に降りる頃にはもう妹学校行ってるし。もしかしてやっぱり今日目覚めいいのかな?
妹『行ってきまーす。』
「行ってらー。」
母『行ってらっしゃーい。気をつけてねー。』
妹が行ってしまった。さっ俺もご飯食べて学校行きますか。いつもはめっちゃ憂鬱な気分なのに、今日はちょっと学校に行くのが楽しみなまである。
「行ってきまーす。」
母『行ってらっしゃい。あっそういえばあんた、今日夜どっか出掛けてないよね?』
ギクッ
「えっ?いやずっと寝てたけど。」
母『あーそう?ならいいんだけど。』
「じゃっじゃあ行ってくる。」
母『はいはーい』
チャリに乗り込み、爆走した。
……ふーあぶね。マジか、何でバレた?ドアか?確かにウチのドアは古くて、動かす度にキーキーいうけど、めっちゃゆっくり入ったつもりだったのに…
……まあいいか。次からは窓から入ればバレんでしょ。
今の俺にはそんなことどうでもよかった。今はただ早く教室に入りたい。こんなこと思ったの生まれて初めてだ。
いつもダルかったこのクソ長い坂道も今じゃ立ち漕ぎ無しのギア4速で上がれるほどに俺の心は舞い上がっていた。
待ってろーー!俺の実家ー!!
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