SPEED.20 阪神高速環状線タイムアタック

翌日の朝、俺たちは道頓堀へ向かった。



「Amazing!!(素晴らしい!!)」



「Your GT-R looks very fast. (君のGT-Rはとても速そうだ。)」



道頓堀のコンビニにクルマを停めるとこのように外国人が俺たちのクルマを取り囲んで写真を撮り始めた。まあ観光地に来たんだし、こうなることは分かっていたので何ともないが。



「非常酷!!(とってもかっこいい!!)」



「太棒了!(これはすごい!)」



英語だけでなく中国語まで聞こえてきて俺は彼らが何を言っているのか、全く分からなかった。この状況に俺は一体どのように対応すれば良いのか分からず、咄嗟にある言葉が出た。



「Voici la R34GT-R. (これはR34型GT-Rです。)」



「ええええええ!?」



俺が突然、フランス語を話すと冬馬と尚輝は驚いた。俺は小学生の時に6年間、フランス語の勉強をしていたことがあり、今使うことになるとは思わなかった。ははは…。



「お前今フランス語喋らなかったか?」

「ああ、よく分かったな」

「でもよ、何で英語じゃないの?」

「それについては追々喋るから」



そして阪神高速環状線へ上がった。


「おい、こんなスカG軍団環状にいたか?」

「3台とも横浜ナンバーだぞ。ビジターだ」



いくつもコーナーがあり、どれもきつい。だがついて行けない訳でもない。



「うっひょー。俺の大好きなコーナーばっかりだ」


「ヴォオオン」「コク」「コク」「ギャアアア」


「やっぱ楽しいねえー、ドリフトは」冬馬はABSを効かせながらドリフトをしてコーナーを滑りながら抜けていく。俺も久しぶりにやるか。「ウォウンウォウン」「コク」「コク」

そしてステアをゆっくり右に切る。滑り出してきたらアクセルをゆっくり踏んでステアを左に切り返す。「ギャアアアアアアア」「キャャャャーッ」「コク」「ヴォォォォォォウウ」



環状をひたすら流し続けること2時間。流石に疲れてきて、ガソリンが残り少なかったこともあり、一度高速から降りる。通話しながら「ガソリン入れに行こうぜ」『おう、そうだな』



連絡を取り合い、近くのGSへ向かった。俺はガソリンを入れつつ、財布を見て青ざめた。

ガソリンを入れ終わったのか冬馬と尚輝がこっちに向かってきて、声をかけてきた。



「おうおう、しけた顔してどうした?」

「駿らしくないなぁ」



こんな顔をしていれば気にかけられるのも分かる。



「金がない……」

「そんなこと銀行で下ろせばいいじゃねーか」



銀行で金を下ろして、改めて環状に上がる。


「そろそろTAでもするか?」

『おおー、いーね』

『やろやろ』


路側帯の広い車線に停まり、チェッカーフラッグ役(冬馬)とタイム測定役(尚輝)を担ってもらい、まず俺が測ることになった。「きんちょーするぜー」「頑張れよー」「おう!!」


チェッカーフラッグ役の冬馬が俺に声をかける。


「用意はいいか?」


「ああ!!」


「Ready Go!!」


「キュルルル」「ヴォオオオオオ」「コク」「ヴォオオオオオオ」「コク」「ババババ」


「行ったか。あの調子じゃ、本当に3分台で帰ってくるんじゃねーの?」

「そうかもね。もしかしたら最速レコードを他県から来た俺たちが、叩き出す可能性も」


「シュパパパパ」「コク」「ヴォォォォ」「コク」



「うわ、何だあの34!?めっちゃはえーじゃん。おれの90スープラじゃ、流石に…」



そして見事、「まじかよ。本当に3分台で帰ってきやがった」



タイムは3分23秒17、最速レコードとなった。俺のタイムが出るまで最速だったのは、地元の人でR32に乗っていると聞かされた。その人のタイムはなんと…3分23秒19であった。



「いやぁー、TAする気にもならんなぁ。そんなタイム出されちゃー…」

「俺も遠慮しとこうかな…。あはは…」



そのあとしっかりタイムを測り、冬馬が3分26秒47、尚輝が3分24秒01という結果だった。



結果はどうあれ楽しかったことに違いはない。とても良い思い出になった。









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