二章 陰謀渦巻く弐恩院さん

第9話 魔女

学校。朝のホームルーム前…


ミオ「友子おはよー」


友子「おはよ!」


ミオ「昨日見ちゃったよぉ」


友子「えっ! 何?」


ミオ「友子さ……谷君と手ぇ繋いで帰ってたでしょ!」


友子「やだ! 何で見てんの? ちがくて、あっちから繋いできたの!」


ミオ「マジで! あっちから? あっっつ!」


友子「やめてよー。てかね、今朝も二人で……登校しちゃって!」


ミオ「それ鬼あつすぎ! ホント良かったねー」


友子「うん! ほんとのこと言うと、ミオ達みたいに並んで学校行くのずっと憧れだった!」


ミオ「えっ……」


ミオ「ア、アタシらみたいにって。別にアタシらは付き合ってる訳じゃ……」


友子「あ、リョウ君おはよ」


リョウ「おはす」


ミオ「リ、リョウ!」


リョウ「何?」


ミオ「何でもない!」


椅子「がたっ」


ミオ「………」


リョウ「?」


友子「また後でね!」


ミオ「うん………」


ミオ(こないだの秋葉原でのデート。結局リョウには告白できなかった)


ミオ(だって、リョウがその日会った女の人に、突然告白されたんだよ? で、しかも……)


弐恩院『私と交際してみませんか?』


リョウ『ごめんなさい』


ミオ(リョウのやつ、速攻断ってるし~~~!!)


ミオ(ちょっとは悩まないの?! 弐恩院さんもさらっと諦めたし、なんなの二人とも!?)


ミオ(アタシがパニックになっちゃって、あのあと告白するなんて、もう無理、絶対無理!)


リョウ「あーあ……あの時……失敗したな」


ミオ「!」


ミオ(あの時? 失敗?)


ミオ「もしかして、後悔してる?」


リョウ「うん。まぁ……してる」


ミオ「っ!」


ミオ「あの時弐恩院さんの告白を断ったこと……」


リョウ「あの時魔女を買わなかったこと」


ミオ「は?」


リョウ「5金出て、魔女を買うか、衛兵を買うか迷ってさ。あの時は衛兵を選んだけど。やっぱり魔女だったな~……」


リョウ「魔女ってさ、呪いを撒くカードなんだけど。呪い撒きの最大の防御って自分も呪いを撒くことなんだよね。だから衛兵じゃなくて魔女を買うべきだったな……」


ミオ「いやいや! 弐恩院さんのことじゃないんかい!」


リョウ「え? 弐恩院さん? 秋葉原で会った?」


ミオ「だって、凄い美人だったし」


リョウ「顔ならミオも美人だろ」


ミオ「はぁっ?! そ、それどういう意味……?」


リョウ「美人はそりゃ嬉しいけど、それよりもドミニオンが好きかとか、近所に住んでるかとか、そういうことの方が大事ってこと」


ミオ「そ、そう」


ミオ(あれ? それってもしかしてアタシ全部当てはまってる……?)


リョウ「弐恩院さんはドミニオンは好きっぽいけど。近くに住んでないし、まぁ付き合うのはムズいって……」


先生「ホームルーム始めるぞー」


二人「!」


先生「今日は転校生を紹介する。入ってー」


ミオ「転校生?」


リョウ「急だな」


友子「どんな人だろう?」


弐恩院「失礼します」


ミオ「?!?!」


リョウ「あれは……」


友子「やば、凄い可愛い……」


弐恩院「弐恩院と申します。自己都合により転校してきました。よろしくお願いします」


教室「ざわざわざわっ……」


ミオ「何…………コレ!?」



弐恩院さんは、その美貌とお嬢様というキャラクターで、すぐに学校の有名人になった。


有名人だが、それは良くも悪くも……といったところか。


というのも、弐恩院さんは入学早々学年でも一番イケメンと評される池上君と付き合い出したのだ。

しかも、池上君は既に彼女がいたのに、その彼女から強奪する形で池上君と付き合ったのだ。


だが、生徒達が驚いたのは強奪のことではない。


弐恩院さんは付き合った一週間後に、池上君と別れた。

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夢中に拡大再生産! 森林達木 @moribayashi27

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