夢中に拡大再生産!

森林達木

一章 基本的には幼馴染み

第1話 ゾンビの石工

放課後


リョウ「うわぁ! あああ! やっちゃった!!」


ミオ「何? どしたの?」


リョウ「『ゾンビの石工』で属州破棄しちゃった! 一点勝ってたのに! 敗けた!」


ミオ「惜しかったね~」


リョウ「惜しかった、じゃない!」


ミオ「!」


リョウ「本当は勝ってたんだ! 『ゾンビの石工』使わなければ最後の属州買って一点差で勝ってたのに! マジ余計なことした!! あーーあ!!」


ミオ「大きな声出さないでよ……」


リョウ「余計なこと言ったのはお前だろ! おい! この後俺んち来い! ドミニオンの特訓するぞ!」


ミオ「…………」


リョウ「聞いてる?」


ミオ「………あのさぁ」


リョウ「なんだよ」


ミオ「なんか……『お前』とか、あと『家に来い』とか……なんかやだな」


リョウ「やだって……」


ミオ「今日さ、実は先約、あるんだよね」


リョウ「えっ……?」


ミオ「さっき廊下で先輩からカラオケ誘われたんだ」


リョウ「えっ?! せ、先輩って……まさか、男……?!」


ミオ「男だよ? あんまり仲良くない先輩だったから断ろうと思ってたんだけど、やっぱ行こうかな」


リョウ「え、えええ!」


ミオ「その先輩の悪い噂も友達から聞いたんだけど。カラオケ行ったら最初は四人とかなんだけどいつの間にか二人っきりにされてね。なんか先輩の言うこと何でも聞かされちゃうみたい」


リョウ「えっ……えっ……?」


ミオ「まぁ、噂は噂だけどね。案外遊んでみたらいい人かも?」


リョウ「あの、その、本当に行かないよな……?」


ミオ「……じゃあ、また明日ね」


引戸「がらがら」


ミオ「あ」



ミオ「明日の朝、一緒に登校できなかったらごめんね」



ピシャッ!


リョウ「………」


リョウ「あああ……やっちゃった……」


リョウ「ドミニオンで負けてイライラして、余計なこと言っちゃった……」


リョウ「俺が『ゾンビの石工』になっちゃった……」


ゾンビの石工「なんかすみません」


リョウ「いや、俺が全部悪い。破棄されるべきは俺だ……」


ゾンビの石工「破棄されるべきというより、唾棄されるべきって感じですね!」


引戸「がらがら」


リョウ「!」


ミオ「……」


リョウ「あ……」


ミオ「なんちゃって、ビビった?」


リョウ「ああ!! 良かった!!」


リョウ「さっきは……ごめんなさい」


ミオ「ん、仲直りしてあげる」


リョウ「ありがとう!」


ミオ「じゃ、帰ってしよっか」


リョウ「ああ!」


二人「「ドミニオン!!」」





ゾンビの石工「ゾンビの石工です。デッキの一番上のカードを破棄して、そのカードよりコストが最大1大きいカード一枚を獲得できます。いつもは廃棄置き場で待機してるんですが、シャーマンがサプライにあったので今回はデッキにお邪魔してました。勝ち確だからって手札にあるアクションカードを無駄プしちゃ駄目ですよ」

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