第17話 護衛依頼1

「コルネット大丈夫だった?」

『え?何ともありませんわ。それよりソウタ…喧嘩したんじゃ…』


コルネットが僕の頬に触れる。


「大丈夫だよ。負けること無いって分かっていただろ?」

『分かってても心配なんですもの…』


「分かってたけど…私の事は忘れ去られているわね…」

フェミニアは一人呟いていた。



「おい、ミヤマの仲間がボコられたって?」

「あのガキどうなってるんだ?」

「見た感じ新人のようだが…」


周囲が騒がしい。

まあいいか。


「掲示板見に行ってみようよ」

『うん!』


コルネットは僕の腕を抱き寄せる。

僕たちは仲良くギルドの掲示板の方へ向かっていった。

先ほどのギルド職員の女性が声をかけてきた。


「あの…お名前伺っても良いですか?」

「え、僕?ソウタだけど…」


板のような物で何かを見ているようだ。

魔道具かな?


「あら…まだ登録したばかりなのですね。驚きました。ミヤマさんには正直困っていたんです。わたしは受付のマーニャと申します。何か困ったことがあったらいつでも相談してくださいね?」


ぽっちゃりとした体型のマーニャ。

おっとりとした雰囲気だが意外に仕事が出来そうだ。

瞳が大きく童顔で胸が大きい。

じっと見ているとコルネットに足を踏まれた。


「痛た…何すんの?」

『女性の胸見てたでしょ。お仕置きです』


えええ?

今のは完全に無意識の行動なんだけどな。



「ところでソウタさん、依頼を受けてみませんか?」

「え?」


今日は依頼を見るだけでこれから町へ帰るつもりだった。

だが、マーニャさんは僕に依頼を受けてもらいたいようだ。


「この依頼が成功すればランクアップしますよ?依頼内容は…」


商人を護衛するという内容だった。

条件は収納魔法アイテムボックスを持っている人。

他に高ランク冒険者がいるのでEランクで大丈夫との事だった。

依頼料もだいぶ高い。


収納魔法アイテムボックス持ちが希少ですからね。助かります。出発は3日後です」


「私も一緒に行ってもいいかしら?」

フェミニアがマーニャさんに訊ねていた。


「ええと、大丈夫かと思いますが…確認しますね」


確認を取ったところ大丈夫との事。

同じパーティだし一緒に行くのが普通だろう。




   *




僕たちは朝早く、待ち合わせの場所に行った。

商人のお店の前で待ち合わせだ。

すでに5人の冒険者が居た。

全員男性のようだ。


これは楽勝だな。

コルネットには妖精の姿になってもらった。

男が居るとナンパされかねないからだ。

無用のトラブルは避けたいからね。


「もう一人は…精霊使いと女性の魔法使いか」


背の高い冒険者の男性に言われた。

その言い方、何だか懐かしいかも。


「宜しくお願いします」


依頼者と冒険者たちに挨拶をした。

僕は個別に商人のロペスさんに呼ばれる。

部屋の中で荷物を受け取り、収納魔法アイテムボックスに入れて荷馬車に乗り込んだ。


「まあ、盗賊は最近は居ないようですし大丈夫でしょう」


ん?盗賊?

この間会ったけど。

まあ、また会うなんて偶然ないだろう。


僕とロペスさんは荷物と一緒に荷台で座っていた。

他の冒険者たちは馬に乗って付いてくる。

随分厳重だな。

確かに荷物は沢山あるみたいだけど…。


「貴方にだけお話しますが、魔法収納アイテムボックス内の宝箱は別格なのです。他の冒険者には内緒ですよ。因みにあなたが持っていることは内緒にしてありますので」


だからこれだけ厳重なのか。

用心深い性格のようだ。

僕を信頼してくれているのかな?


「貴方は王族とも繋がりがあるらしいですね。なので安心して任せられます」


そういう事か。

良いのか悪いのか。

フェミニアとパーティを組んでいたことが幸いしたようだった。

因みに、コルネットは僕の肩の上で安心して眠っていた。

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