第8話 引っ越し
買い物が終わり、宿に戻ってきた。
ベッドが一つしかないので、二人用の部屋に変えてもらった。
僕とコルネットを見て、宿の女将さんが何故かニヤニヤしていたが。
広い部屋なので、値段が高くなってしまった。
まだ若干余裕があるものの金銭的に心配だ。
思い切って、賃貸を借りたほうが良いのだろうか。
そういえばフェミニアはどうしているのだろう?
*
次の日、本人に訊いてみた。
彼女は
「私?部屋借りてるけど。だって宿は便利だけどお金かかるじゃない」
宿は、食事も用意しなくていいし掃除もしてくれる。
頼めば服の洗濯までやってもらえるのだ。
改めて洗濯機の有り難みを感じていた。
この世界では桶に水を入れて手で洗濯しているようだ。
「私の所来る?一部屋空いてるけど。コルちゃんは私の部屋に泊ればいいかな。え?洗濯?魔法使えば良いじゃない」
魔法というと、攻撃魔法とかのイメージが強かったのだけど洗濯も出来るらしい。
調理をするときも火魔法を使うとか。
何でも魔道具という便利なものがあるらしい。
他にも沢山知らないことがあるのかもしれない。
早速ベッドを購入し、空いている部屋に運んでもらった。
結局一緒に住まわせてもらう事にしたのだ。
シェアハウスだっけこういうの。
これで宿代が浮く。
幾らかはフェミニアに支払うつもりだけど。
『あの…わたし、小さくなりますから。そしたらソウタと一緒に居られますよね?』
「ん?コルネット元に戻るの?」
「コルちゃんたら、そんなに一緒がいいんだ。ご馳走様です」
コルネットは頬が赤くなっていた。
僕とコルネットはベッドに座って二人きりになっていた。
あれ?
何だか意識しちゃうんだけど?
でも寝るときは小さくなるんだよね?
コルネットが僕の手を握ってくる。
ぴったりとくっついて離れない。
宿屋では部屋が広かったせいか、全く意識してなかったのに。
心臓の音がやけにうるさく聞こえてくる。
『やっと二人きりになりましたね』
「やっと?」
『わたしと一緒に寝るのは嫌ですか?』
「い、嫌じゃないけど…そういうのはまだ早いって言うか…できれば寝るときは小さくなってほしいかな…ほら、ベッド狭いじゃない」
コルネットは僕にキスをしてきた。
理性が飛んじゃいそうだよ。
「ちょ、不味いってコルネット!僕、我慢できなくなっちゃう」
もしかしたら我慢しなくても良いのかもしれないけど。
気持ちがよく解らないのに、勢いでそういう事はしたくない。
コンコンコン。
ドアがノックされた。
「お茶飲む?…ってあれお邪魔だった?」
フェミニアがドアから顔を覗かせた。
僕はコルネットから体を離す。
「助かった!」
*
僕とコルネットはリビングに移動して紅茶を飲んでいた。
『え?寝るって添い寝するとかの意味じゃなかったんですか?』
一緒に寝るとどうなるのか…とは考えていなかったらしい。
女神ゆえの純粋さなのか。
僕がどれだけ汚れているんだよ。
「誤解していたのね…人間じゃないからしょうがないのかな?」
フェミニアは僕に同情の目を向けていた。
何でも小さい時に、僕にくっついて寝ていると気持ち良かったらしくて…大きい体ならもっと気持ち良いのだろうと思っていたらしい。
本当に勘弁してほしい。
コルネットには理解してもらって、夜は妖精サイズになるようにしてもらった。
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