第42話 初めての召喚 その2

抑えきれない興奮のせいか、いつもよりも早く祠に到着した。


まずは、周囲確認だ。


偵察粒子散布!!


俺を中心に1km四方の偵察と探索を始めた。


50mおきに1つ、合計で800個、隙間なく並べるように飛ばして、1km四方の高さ100m内を確認できた。


この周辺1km四方に人は居ない!


良し!


間違いなく試せる。


確認作業が済んだ途端に、俺の興奮は全身を満たし、体全体が鼓動しているように感じた。


それじゃ……はじめますか。



と言っても、おじいさんの話では念じるだけで召喚が始まるんだったよな……


なんか、念じるだけって、始まりが曖昧だな……


「いでよ、英雄、そして我に従えー!」


って感じか?



次の瞬間、周囲が暗くなった。


次の瞬間、目の前に直径1mほどのボーっと光る白い玉が現れた。


お!……え?……


もう?


やばいやばい、見とれてる場合じゃない!!


暗闇の範囲をチェックしなきゃ!!


最外の偵察粒子に意識を向けると、暗闇を検知しているのが分かった。


やっば!!


慌てて偵察範囲を3kmに広げてみた。


暗闇は偵察範囲に収まっている!


ログハウスまで届いていない!!


ふええぇぇ、セーフ、セーフッ!


あとは、思い人が召喚できるかどうかの一点だけだ!


そんな俺のドタバタを意に介さず、白い球が発する光は徐々に収束していく。


そして、跪く作務衣姿の男性が現れた。


「おおお!」


ついつい歓喜の声を上げてしまった。


「再び仕えることを、心からお喜び申し上げます……!?そ…う…様!?……」


口上を述べながら顔を上げた男性は、俺の顔を見て、驚きと共に拍子抜けした様子だった。


ただ、俺と目があった瞬間、二人の体が導通したような刺激が走った。


そして、俺の光の粒子を用いて生を受けている事を自覚したのか、すぐに表情が変わった。


「忠誠を誓います。この命を懸けて、主の思いにお応え致します。」


ふふふふふ……この忠義に熱い感じ……多分間違いない!!


ブルブルッ


達成感と興奮で、沸騰した血液が全身を駆け巡り、身震いが止まらない。


落ち着け、落ち着け、俺。


召喚そのものも重要だけど、用があって召喚してるんだ!


肝心なのはこれからだ……


スーッ、ハーッ……


何度も深呼吸して、自分を落ち着かせた。


「お待たせしちゃいまして、ごめんなさい。あまりの喜びにコーフンしちゃってね。俺は、砕けた表現しかできないけど、気にしないでね。」


「御意」


「それと、俺に気にせず、砕けた表現して貰ってもいいからね。」


「御意」


「……」


砕けとらんやんけ…分かっているのかな…


まぁいいや。


「さて、念のため確認だ。名前を教えてくれるかな。」


「龐徳」


うぉーっ!


やったーっ!!


完璧だっ!!!


「あのね、今まで仕えた誰よりも俺は貧弱だという自負があるからさ、存分に活躍してくれーっ!!」


「御意」


「……」


ん-、俺の砕けっぷりを目の当たりにしても、砕けないか……


うん、まぁ、良い。


そんなことは、もう気にしない!


「なんか必要なものある?やっぱり、馬?馬具?馬上で振るう長刀?鎧とかの防具も必要かな?」


「では、まずは武器を。」


だよね~。


長刀と刀を一振りずつ用意しなきゃかな~。


クマエ、カネを残して戻ってきてくれるといいのだけど……

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